差押売却で得た余剰金、所有者に無断で着服
カリフォルニア州の自動車管理局(DMV)が、車両の差押売却で得た余剰金を所有者に通知せず、着服していたことが明らかになった。この問題を受け、州上院議員ケリー・セヤルト氏が提出した新法案により、差額発生時の所有者への通知が義務化される見込みだ。
差押売却の仕組みと消費者への影響
カリフォルニア州では、車両が差押された際、所有者が料金を支払えず放置された場合、DMVが競売にかける。競売で得た金額はまず差押費用や滞納料金に充てられ、残った余剰金は所有者に返還されるのが原則だ。しかし現状、余剰金が発生しても所有者に通知されることはなく、州が無断で保持していた。
特に低所得世帯にとって、車は生活の足を確保する重要な手段だ。差押から競売までの流れで余剰金が発生しても、所有者がその存在を知らなければ、事実上取り戻すことができない。新法案はこうした消費者保護の抜け穴を解消する狙いがある。
新法案SB 1029の概要
セヤルト議員が提出したSB 1029法案では、以下の内容が定められている。
- 14日以内の通知義務:DMVは競売後14日以内に、所有者に対して余剰金の存在と請求方法を書面(配達証明郵便)で通知しなければならない。
- 請求手続きの明確化:通知には、余剰金の請求方法や必要書類、期限に関する具体的な案内が含まれる。
- 3年経過後の消滅処理の見直し:所有者が請求しないまま3年が経過した場合、余剰金は州の収入となる現行ルールの見直しも検討される。
セヤルト議員は「差押売却の過程で州が余剰金を保持することは、カリフォルニアの差押売却プロセスにおける深刻な消費者保護の抜け穴だ。所有者に通知し、正当な権利を行使できるようにすることが重要だ」と述べている。
これまでの実態とDMVの対応
カリフォルニアDMVは、2016年から2024年後半にかけて、約5,300台の車両の競売で得た余剰金として800万ドル以上を保持していた。この間、所有者に通知や案内を行うことは一切なかった。
この問題が報じられた後、DMVはオンラインツールを公開し、所有者が自身の名前で余剰金の有無を確認できるようにした。しかし、これはあくまで問題発覚後の対応であり、根本的な解決には法改正が必要とされている。
法案の行方と今後の展望
SB 1029法案は現在、上院歳出委員会での審議に向けて進められており、現時点で反対意見は出ていない。委員会通過後は本会議での採決が見込まれ、早期成立の可能性が高いとみられている。
専門家らは、この法改正がカリフォルニア州における消費者保護の強化につながるだけでなく、他州へのモデルケースとなることを期待している。
「所有者が自分の権利を知らずに損をする状況は、もはや放置できない。SB 1029は、公平性と透明性を取り戻す第一歩だ」
— ケリー・セヤルト議員