米カリフォルニア州の裁判所に8月20日、プエルトリコ在住の男性「D.B.」が、暗号資産取引所コインベースを相手取り提訴した。同氏は、自身の暗号資産が5500万ドル相当流出したハッキング被害に遭い、コインベースが凍結した資産の返還を拒否したと主張している。

被害者は、DeFi管理ツール「DefiSaver」を装った悪意のあるリンクをクリックしたことで、フィッシング詐欺に引っかかった。その後、知らずのうちにスマートコントラクトの許可を与えてしまい、犯罪者にウォレットの管理権を奪われた。犯人はステーブルコインDAIを奪取し、Tornado Cashなどの暗号資産ミキシングサービスを経由して資金洗浄を行った後、最終的にコインベースに預け入れた。

コインベースは、被害者の代理人であるZero ShadowFive Stonesが資金の追跡と凍結を要請した後、小売口座に保管されていた資産を凍結した。しかし、被害者が所有権を証明する宣誓供述書を提出したにもかかわらず、コインベースは裁判所命令がない限り資産を返還しないと主張。被害者側は、合理的な凍結行為は認めるものの、所有権の証明後も返還を拒否した行為は不当であると主張している。

8月20日の大規模ハッキングとの関連性

提訴書類には被害者の氏名や正確な被害額が伏せられているが、8月20日から21日にかけて発生した5500万ドル相当のDAI流出事件との関連が指摘されている。同事件では、被害者がDeFi Saver Proxyを標的とした詐欺トランザクションに署名したことで、5543万ドル相当のDAIを失ったと報告されている。

犯行には「Inferno Drainer」マルウェアが使用され、スマートコントラクトの操作により資産が奪われた。当時の暗号資産アナリストは、被害者が不注意にトランザクションに署名したと指摘。被害者は悪意に気付いた後、トランザクションの取り消しを試みたとされる。

提訴の内容と求める救済措置

被害者は、コインベースに対し不当利得など5つの容疑で提訴。具体的には、以下の救済を求めている。

  • コインベースが保有する利益の返還
  • 被害者が正当な所有者であることの宣告
  • コインベースに対する資産の返還命令
  • 信託の設定命令

また、「ジョン・ドゥー」(未特定のハッカーを指す法的名称)に対し、詐欺、窃盗、 racketeering(組織犯罪処罰法違反)など7つの容疑で提訴した。被害者は、資金洗浄に関与したとされるウクライナ人オレクシー・ゴレリキンの特定にも成功したと主張している。

現在、コインベースにコメントを求めているが、回答は得られていない。今後新たな情報があれば更新される予定だ。

出典: Protos