米国の人気ドラマ「ザ・ボーイズ」で最大の悪役といえばホムランダーだが、シーズン2で彼を凌駕する存在として登場したのがクララ・ヴォート(演:エイア・キャッシュ)だ。白人至上主義者という衝撃的な正体を持ち、数十年にわたり殺人を繰り返してきた彼女は、ヴォート社の悪事の根幹に関わっていたことが明らかになった。

しかし、彼女の壮絶な半生の一端が明かされたに過ぎず、いまだ謎に包まれた部分も多い。元「リバティ」、後に「ストームフロント」を名乗った彼女は、もともとドイツ出身のクララ・ライジンガーだった。そして、2024年に公開されるプレキエルシリーズで、クララは再びスクリーンに登場。ソルジャーボーイ(演:ジェンセン・アックルス)と共に、その暗黒の歴史が描かれる。

クララ・ヴォートの知られざるルーツ

クララの歴史は1919年、ドイツのベルリンに遡る。当時、彼女はナチス党と交流を持ち、後にヴォート社の創設者となるフレデリック・ヴォートと出会い結婚した。フレデリックはナチス党の一員であり、ヒトラーからダッハウ強制収容所の主任医師に任命された悪名高い遺伝学者だった。

クララはヴォート博士が開発した化合物Vを最初に投与された人物の一人であり、その結果、電気操作能力や超人的な筋力を獲得した。しかし、第二次世界大戦末期の1944年、彼女は夫と共に米国へと移住した。これは、米国がナチスの科学者を引き抜く「オペレーション・ペーパークリップ」の一環だった。

米国移住後、クララはヴォート社の創設に関わり、姓を「ヴォート」に変更した。これは反ドイツ感情を避けるための措置だったとされる。

「リバティ」から「ストームフロント」へ:半世紀にわたる暗躍

1950年代、クララは「リバティ」の名で超能力者として活動を開始。この時期、彼女はソルジャーボーイやプライベート・エンジェル、ボムサイト、トルペドーといった仲間たちと共に、スーパーヒーローの祭典「ヘロガスム」を創設し、ソルジャーボーイとの長年にわたる恋愛関係も始まった。

しかし、1970年代後半になると、クララは人種差別的な動機による殺人に関与していたとの疑惑が浮上。その後、1979年から2020年までの40年以上にわたり、彼女の消息は途絶えた。この間、ヴォート社が1984年にソルジャーボーイをロシアに売り渡した際にも、クララの姿はなかった。

2020年、クララは突如として姿を現し、「ストームフロント」と名乗る新たな超能力者として活動を再開。ヴォート社CEOスタン・エドガーの指揮下で「セブン」の一員を装い、ソーシャルメディアを駆使して活動した。シーズン2では、ホムランダーとのロマンスを通じて彼を悪の道へと誘い、白人至上主義の思想を明らかにした。

クララの正体と残された謎

クララの正体は、ヴォート社の暗部を象徴する存在だ。彼女の暗躍は、ナチス時代の科学的犯罪から始まり、米国への移住後もヴォート社の拡大と共に悪事を重ねてきた。しかし、シーズン2で明かされたのは、その氷山の一角に過ぎない。

特に注目されるのが、彼女とフレデリック・ヴォートの間に生まれた娘・クロエの存在だ。クロエは化合物Vを投与されることなく成長したが、その行方やクララとの関係は未だ明らかにされていない。また、彼女が1979年以降の40年間をどのように過ごしていたのか、その詳細も謎のまま残されている。

2024年に公開予定のプレキエルシリーズでは、クララとソルジャーボーイの関係を中心に、彼女の半生がより深く掘り下げられる。このシリーズを通じて、クララ・ヴォートの真の姿が明らかになる日も近い。