銀行業界、クリエイト法案の安定コイン規制に猛反発

米国の銀行業界が、安定コイン規制を含む「クリエイト法案(Digital Asset Market Clarity Act)」の進展を阻止しようと猛反発を強めている。同法案は、2025年7月に下院で超党派の支持を得て可決された包括的な暗号資産規制枠組みだが、安定コインの利回り提供を巡る条項を巡って上院で議論が紛糾している。

来週の委員会採決に向け激しいロビー活動

来週の委員会採決を控え、米銀行業界は法案の修正を求めるロビー活動を加速。米銀行協会、銀行政策研究所、消費者銀行協会、金融サービスフォーラム、独立系コミュニティ銀行協会など主要団体が共同声明を発表し、議員らが起草した条項を批判した。

特に問題視されているのが、安定コインの利回り提供に関する「第404条」の文言だ。銀行業界は、議員らが目指す「安定コインへの直接的な利回り・利息の支払い禁止」という大枠は認めるものの、現行の条項には「抜け穴」が多いと主張。暗号資産取引所や仲介業者が、会員プログラムに基づく報酬を提供することを可能にし、実質的に銀行の利息と同等の機能を果たす可能性があると指摘する。

「無差別な資本流出」を招くリスク

銀行業界は、安定コインの利回り提供が銀行預金の流出を招き、地域経済の資金調達に深刻な影響を与えると警告。同団体の内部調査によると、利回り付き安定コインの普及により、消費者ローン、中小企業ローン、農業ローン向けの資金が最大20%減少する可能性があるとしている。

一方で、大手銀行と地域金融機関の間では反対意見が強いものの、消費者預金を大量に抱えない金融機関では、ティリス議員とアルソブルックス議員による枠組みに一定の理解を示す動きも見られる。

上院交渉チーム、銀行業界の要求を拒否

銀行業界の猛反発に直面する中、上院交渉チームは法案の修正を拒否し、強硬な姿勢を崩していない。ティリス議員は、安定コイン規制が「預金流出の脅威を排除しつつ、イノベーションを阻害しない」バランスの取れた内容だと主張。銀行業界が条項に関与していたことも指摘し、突然の反発に対する理解を求めた。

同法案は、トランプ政権からの支持も見込まれており、上院交渉チームは7月4日までの成立を目指す。来週の委員会採決は、暗号資産規制の今後の方向性を左右する重要な局面となる見通しだ。

主な争点:安定コインの利回り提供規制

  • 銀行業界の主張:利回り付き安定コインが銀行預金を流出させ、地域経済の資金調達を阻害するリスクがある。
  • 議員らの主張:預金流出の脅威を排除しつつ、暗号資産業界のイノベーションを促進するバランスの取れた規制を目指す。
  • 今後の展開:来週の委員会採決で法案の行方が決まる見通し。トランプ政権の支持もあり、成立に向けた動きが加速する可能性。