暗号資産起業家のジャスティン・サン氏は5月20日、DeFi(分散型金融)大手Aaveに対し、2000万ドル(約30億円)の流動性供給を発表するとともに、自身が2017年に設立したTronブロックチェーンへのAave展開を要請した。

TronはDeFi総預かり高が53億ドルに達し、規模では第5位に位置する人気のブロックチェーンだ。アジアや新興国を中心に強固なユーザーベースを持ち、億万長者の創業者であるサン氏の影響力もあって、熱狂的な支持を集めている。しかし、Aaveは未だTron上での展開を見送ってきた。

サン氏はX(旧Twitter)への投稿で、「TRONとHTXは、AaveのTron展開を支援するため、Aave Core V3市場に2000万ドルのUSDTを供給します。DeFiの未来は共に!」と表明。HTXはサン氏が所有するセーシェル拠点の暗号資産取引所だ。

同氏の支援表明は、4月18日に北朝鮮のハッカーがEthereum DeFiプロトコル「KelpDAO」から2億9300万ドルを盗み、そのうち2億ドルをAaveに預け入れてイーサリアムを大量に借り入れるという事件の後で行われた。これにより、Aaveは少なくとも1億7700万ドルの回収不能な不良債権を抱えることとなった。

DeFiコミュニティの迅速な対応

DeFi業界の大手プレーヤーによる協調的な取り組みと、盗まれた資金の一部回収により、Aaveは損失を埋め合わせることに成功。これまでに1億6000万ドル(約80%)の資金を確保した。

サン氏は以前、KelpDAOのハッカーに対し、盗まれた資金の返還を呼びかけていた。

AaveのTron展開を巡る議論

AaveをTronに展開するか否かは、新たな議論の的となっている。昨年4月、AaveのDAOサービスプロバイダー「Aave-Chan Initiative」は、Tron展開に関する投票を実施。その結果、展開に向けた正式な提案依頼(RFC)の発行が承認され、同年4月30日から8月22日まで募集が行われた。この間、Chaos LabsやLlamaRiskなど複数のAave DAOサービスプロバイダーから、リスク評価やフィードバックが寄せられた。

しかし、それ以降は具体的な進展が見られなかった。サン氏の2000万ドルの流動性供給と今回の発言は、この議論を再燃させ、Tron展開の是非を問うオンチェーン投票へとつながる可能性がある。

出典: DL News