米俳優ジョン・マガロが主演を務める映画「オマハ」が、2025年のサンダンス映画祭で初上映された後、5月9日より全米で劇場公開された。監督はコール・ウェブリー、脚本はロバート・マキアン。経済危機後の米中西部を舞台に、失職し家を失った父親「ダッド」が、二人の子どもと犬を連れて中西部横断の旅に出る物語だ。
マガロは、自身が育ったオハイオ州クリーブランドの経済状況と、当時の米国で進行していた「男らしさ」の揺らぎについて語った。「当時、製造業の仕事が失われ、ブルーカラーの男性たちにとっての男らしさの概念が根底から揺らいでいました。彼らが助けを求めるのはとても難しいことだったのです」と、TheWrapのインタビューで明かした。
映画の主人公「ダッド」は、単に「父親」と呼ばれるだけの存在だ。マガロはその点に注目し、「ダッドという名前には特別な意味があります。子どもたち、特に幼いエラの視点から見た父親像を象徴しているのです」と語った。「子どもにとって親は、強く揺るぎない存在として映ります。しかし、その信頼が揺らぐ時、子どもにとってそれは世界が崩れ落ちるような衝撃なのです」と、自身の12歳の頃の経験を振り返った。
マガロは、自身の父親がアルコール依存症と闘っていた事実を、成人してから知ったという。当時、父親は教師という安定した職に就いており、一家の支柱として映っていた。「父親が弱さを見せることはなかった世代でした。助けを求めることなど、考えられないことだったのです」と、マガロは当時の価値観を説明した。「父親もまた、助けを求めることができなかった。その結果、問題はやがて表面化し、家族に影響を及ぼしました」と語った。
「オマハ」の撮影は、マガロにとっても自身の父親像を見つめ直す機会となった。ドイツで「September 5」の撮影を終え、家族と過ごす時間を求めていたマガロだったが、友人からロバート・マキアンの脚本を手渡されたことで、計画を変更。脚本を読み終えたマガロは、「この物語は素晴らしい。キャラクターも深みがあり、これまでに経験したことのない作品です」と語った。撮影後には「胸が張り裂けそうな思いだった」と振り返り、この作品への思い入れの強さを語った。
「子どもにとって親は、強く揺るぎない存在として映ります。しかし、その信頼が揺らぐ時、子どもにとってそれは世界が崩れ落ちるような衝撃なのです」
— ジョン・マガロ
「オマハ」は、経済危機後の米国中西部で、家族の絆と父親の葛藤を描いた作品だ。マガロは、この映画を通じて、新たな「男らしさ」の定義を提示しようとしている。