米国の老舗オークションハウス「Mecum Auctions」は、2026年5月8日から16日までインディアナポリスで大規模オークションを開催する。同イベントでは、1971年以前の排ガス規制前時代を象徴する希少なマッスルカーが多数出品されるが、その中でも特に注目を集めるのが、1971年式Plymouth Hemi GTXだ。

Mecumによると、この1971年式Hemi GTXは、426立方インチ(6.9L)のHEMI V8エンジン(425馬力)と4速マニュアルトランスミッションを搭載した世界に11台しか存在しない希少なモデルの1台である。さらに、4.10ギア比とサー・グリップリミテッドスリップデフを備えた「スーパートラックパック」仕様は、そのうちのわずか4台しか生産されていない。加えて、ボディカラーは「ウィンチェスターグレー」と呼ばれる特殊色で、1971年式Hemi GTXとしては唯一の存在とされる。

1971 Plymouth Hemi GTXのフロントビュー

1971 Plymouth Hemi GTXのリアビュー

この車両は、当時の標準装備としてパワーステアリング、パワーブレーキ、バケットシートを備え、Mopar製のラリータイヤとグッドイヤー・ポリグラス(白文字入り)を履く。また、特徴的な「エアグラバー」付きフードを装備しており、固定式ではなくポップアウト式のスロットが採用されている。さらに、エンジンとトランスミッションのナンバーマッチングを維持したまま、ロテッセリー(回転式)によるレストアが施されている。

1967年にデビューしたPlymouth Hemi GTXは、当時の米国マッスルカーの代名詞だった。当時の主流であった大排気量V8を搭載した大衆向けプラットフォームに、高級感を演出する上級モデルとして位置づけられた。翌年には同一プラットフォームを採用したRoad Runnerが発売され、GMのポンティアックGTOやオールズモビル442といったライバル車との競争を繰り広げた。Hemi GTXは、440立方インチV8エンジンとの選択肢もあったが、HEMI搭載モデルはその中でも最上級のパフォーマンスを誇った。

1971 Plymouth Hemi GTXのインテリア

1971年モデルでは、新たな「フェーセージ(胴体)」デザインが採用された。従来の保守的なスタイルから一転し、より洗練されたエクステリアデザインとなった。しかし、この年を境に排ガス規制の強化が始まり、保険会社も馬力の低い車両を優遇するようになった。426HEMIを搭載した1971年式Hemi GTXは、まさにその「マッスルカー全盛期の終焉」を象徴する存在だったのだ。

Plymouthブランドは既に消滅したが、HEMIエンジンの名は今なお世界中で知られている。Mecumは、この1971年式Plymouth Hemi GTXを5月15日のオークションで32万5,000ドルから35万ドル(約4,800万円〜5,200万円)で落札される見込みとしている。同じ日に出品される440V8(ナンバーマッチング)搭載の4速マニュアル車は、11万ドルから13万ドル(約1,600万円〜1,900万円)の落札が予想されている。希少性が価値を左右するマッスルカー市場において、その差は歴然としている。

出典: The Drive