スター・トレックフランチャイズにとって、今年は大きな転換期となっている。同シリーズは60周年を迎えたが、その未来はこれまでの記念すべき節目とは異なり、不透明感が漂っている。
既に撮影が終了した「スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド」シーズン5や、第2シーズンで終了が決まった「スター・トレック:スターフリート・アカデミー」など、現在制作中の作品はあるものの、次回作の制作は発表されていない。それどころか、新たなプロジェクトの開発すら行われていない状況だ。かつて話題となった「スター・トレック:イヤー・ワン」(ジェームズ・カークの前日譚)に関する議論も停滞しており、「ストレンジ・ニュー・ワールド」のエンタープライズ号セットの解体は、その兆しを示す悪いサインのように見える。
フランチャイズの将来について、多くの関係者が不安を抱えている。その中でも、ウィリアム・ライカー役で知られるジョン・フラックスは、スター・トレックの歴史に深く関わってきた人物の一人だ。彼は7つのシリーズで監督を務め、2本の映画も手掛けてきた。最近では「スター・トレック:スターフリート・アカデミー」のエピソードを監督し、現代のスター・トレックが抱える課題について率直な見解を示している。
フランチャイズの停滞はなぜ起きたのか?
フラックス監督は、現代のスター・トレックが直面する問題の一因として、「新しい取り組みに対する支持の不足」を挙げる。また、「パラマウント+とCBSスタジオの経営陣交代」や「制作費の高騰」も影響していると指摘する。特に、現代のスター・トレックは「映画並みのクオリティを求められる高コストな制作体制」に移行しており、かつてのような「ストーリーテリングと演技に重きを置いた低予算時代」とは大きく異なっている。
「80年代当時、私たちはカメラワークや演出にそこまでお金をかけることはありませんでした。ストーリーと演技、時折のカメラアングルで十分だったんです。でも今は違います。今のスター・トレックは、「撮って出しのエンターテイメント」ではなく、「観客を興奮させるための高品質な映像体験」を求められています。その分、コストも膨大になります。ビジネスですからね」
それでも、フラックス監督は楽観的
フラックス監督は、フランチャイズの将来について「残念だが、必ず復活する」との見解を示す。60年にわたる歴史を振り返り、「ロッドデンベリーの遺した力強さが、このフランチャイズを支えてきた」と強調する。
「60周年記念に、新作が制作されていないというのは非常に残念です。皮肉なタイミングだと思います。でも、スター・トレックは必ず復活します。これまで60年、常にそうであったように。ロッドデンベリーがこのフランチャイズに込めた力強さが、これからも続いていくでしょう」
監督自身、スター・トレックの歴史を長く歩んできた一人として、「制作費の高騰や経営陣の変動は一時的なもの」と捉えている。フランチャイズの根幹にある「未来への希望と探求心」は、時代が変わっても色褪せることはないと信じている。
「私自身、楽観的です。必ず良い方向に向かうでしょう。スター・トレックは、常にそうであったように」