米紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道によると、ドナルド・トランプ前大統領の次男ドナルド・トランプJr.氏と三男エリック・トランプ氏が、カザフスタンのタングステン鉱山事業に関与する米ナスダック上場企業スカルライン・ビルダーズを通じて投資を行っていた可能性があることが明らかになった。
同社はカザフスタンの鉱業投資会社コーブ・カズ・キャピタル・グループと提携し、合弁事業「カズ・リソーシズ社(KAZR)」の設立に向けた取引合意を結んでいる。取引が完了すれば、新会社はナスダックで「KAZR」として上場する見通しだ。
米政府系金融機関による最大16億ドルの融資検討
公開書類によると、米輸出入銀行が最大9億ドル、米国際開発金融公社(DFC)が最大7億ドルの融資に関心を示している。これらの資金は、米国の重要鉱物政策の一環として、サプライチェーンの強靭化と中国依存の低減を目指すプロジェクトに充当される見込みだ。
トランプ一族の関与と透明性の問題
今回の報道は、トランプ一族の投資、上場企業のペーパーカンパニー、米政府系金融機関の融資検討が同一の事業に集中している点で注目を集めている。しかし、以下の重要な疑問点は依然として解決されていない。
- トランプ次男・三男が実際にどの程度の投資を行ったのか
- 米政府系融資の決定プロセスに彼らが関与したかどうか
- 融資が最終的に実行されるかどうか
- 彼らの経済的な利益が最終的にどの程度になるのか
スカルライン・ビルダーズを通じた投資経路
投資の第一段階はスカルライン・ビルダーズ社を経由している。同社は2025年8月に約1780万ドルの私募増資を実施し、その後の関連取引により量子リープ・エナジーが議決権を掌握した。また、同社の引受業務を担ったのがドミナリ・セキュリティーズだった。
FTの報道によれば、トランプ次男・三男は2025年8月にアメリカン・ベンチャーズ(ドミナリ・セキュリティーズ傘下の特別目的会社)を通じてスカルライン・ビルダーズに投資を行い、同年10月28日には追加投資を行っていた。米証券取引委員会(SEC)への提出書類では、トランプ一族の名前は明記されていないものの、アメリカン・ベンチャーズを通じた投資時期とシリーズの関連性が示されている。
ドミナリ・セキュリティーズとの関係
ドミナリ・セキュリティーズの四半期報告書によると、同社はアメリカン・ベンチャーズ・マネジメントLLCとアメリカン・ベンチャーズIM LLCの90%の持分を保有しており、これらがアメリカン・ベンチャーズLLCの運用・投資管理を担っていた。また、同社の年次報告書では、トランプ次男・三男がドミナリ・セキュリティーズのアドバイザリーボードメンバーおよび5%以上の株主であることが明記されている。同社は2025年2月に彼らのアドバイザリーボード就任を発表していた。
カズ・リソーシズ社設立への動き
2025年10月31日、スカルライン・ビルダーズはデラウェア州の有限責任会社(LLC)に対し、約2000万ドルで20%の持分を取得する旨を発表した。同社名は公開書類には記載されていなかったが、FTの調査により「カズ・リソーシズ社」であることが判明した。同社はコーブ・キャピタルとコーブ・カズ・キャピタル・グループとの関係が深い。
その後、2026年4月30日にはスカルライン・ビルダーズとコーブ・カズが合併に向けた取引合意を発表し、新会社「カズ・リソーシズ社」が設立されればナスダックで「KAZR」として取引される見通しとなった。取引の詳細な合意書では、コーブ・カズの関与についても言及されている。
「トランプ一族の投資、上場企業のペーパーカンパニー、米政府系金融機関の融資検討が同一の事業に集中している構造は、透明性と利益相反の観点から大きな疑問を投げかけている」
— フィナンシャル・タイムズ