歴史的建造物の塗装に法的審査が必要だった
トランプ前大統領がリンカーン記念碑の反射池を青色に塗り替えた改修工事をめぐり、米国の歴史的ランドスケープの保護団体「ザ・カルチュラル・ランドスケープ・ファウンデーション(The Cultural Landscape Foundation)」から提訴された。
同団体は1月22日、米連邦地裁(ワシントンD.C.)に対し、米内務省と国立公園局を相手取り、連邦法違反を理由に提訴。反射池は1924年の完成以来、底面が灰色だったが、今回の青色塗装は「リゾートやテーマパークにふさわしい」と批判した。
同団体の代表兼CEO、チャールズ・バーンバウム氏は声明で「青色は反射池の歴史的意義を損なう」と述べ、さらに塗装を進めることを阻止するため、差し止め命令の発令を求めている。
工事費は7倍超に膨張、無競争契約の疑惑も
ニューヨーク・タイムズの報道によると、反射池の改修工事費は当初の180万ドルから1310万ドル(約19億円)に膨れ上がった。内務省は1月19日、バージニア州の塗装業者「アトランティック・インダストリアル・コーティングス(Atlantic Industrial Coatings)」と契約し、同社は20%の利益率を確保した。
同社はトランプ氏のゴルフクラブ(バージニア州スターリング)のプール改修も手掛けており、今回の契約は競争入札なしで締結された。内務省は「工事の緊急性が高く、遅延すれば政府に深刻な損害を与える」と主張したが、具体的な理由は明らかにしていない。
また、工事完了を米独立250周年記念(2026年7月4日)までに間に合わせたいとのトランプ氏の意向も報じられている。
トランプ氏の「自らの美学」が首都ワシントンに反映される懸念
今回の提訴は、トランプ氏が首都ワシントンの景観を自身の不動産プロジェクトと同様のデザインに変えようとしているとの批判を招いている。同氏はこのほか、ゴールデンアーチやホワイトハウスの Ballroom 改装計画でも提訴されている。
議会と最高裁がトランプ氏に従順な状況下、米国の首都にトランプ氏の「恒久的な刻印」が残される可能性が指摘されている。
「青色の塗装は、反射池の歴史的価値を損なうだけでなく、米国の文化遺産に対する軽視を象徴している」
— チャールズ・バーンバウム氏(ザ・カルチュラル・ランドスケープ・ファウンデーション代表)