韓国の自動車メーカー、ヒュンダイは、次世代インフォテインメントシステム「プレオス・コネクト(Pleos Connect)」を発表した。AI音声アシスタントやオープンアプリマーケットを搭載し、タッチスクリーンと物理ボタンを組み合わせた直感的な操作性で、運転中の利便性を大幅に向上させる。

同システムは、まず韓国市場で発売されるグランデュア(Grandeur)に搭載され、その後欧州向けのアイオニック3 EVにも順次導入される予定だ。プレオス・コネクトは、ヒュンダイ・モーター・グループが開発した次世代プラットフォームであり、ソフトウェアで定義された車両(SDV)への移行を加速させる重要な一歩となる。

テスラ風の外観、しかし独自の進化を遂げるUI

一見すると、プレオス・コネクトの中央タッチスクリーンはテスラのそれと似ているが、細部に独自の工夫が施されている。メイン画面は、運転データ、アプリ、ショートカット用に分割されており、ドライバーの前にはスピードやナビゲーション情報を表示するスリムなサブディスプレイが配置される。

特筆すべきは、物理ボタンの存在だ。ステアリングホイールやメイン画面下部に配置されたボタンにより、エアコンや音量調整などの主要機能に素早くアクセスできる。これにより、メニューを探し回る手間を大幅に削減。ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンも同様の方向にシフトしており、タッチ操作に対する批判を受けて、物理キーの復活に踏み切った。

また、3本指のジェスチャーでアプリの並べ替えや終了が可能なほか、運転中の操作負担を最小限に抑える設計となっている。

Gleo AI音声アシスタントが運転をサポート

プレオス・コネクトの中核を担うのが、Gleo AIと呼ばれる音声アシスタントだ。自然な会話形式のコマンドに対応し、複数のリクエストを同時に処理できるほか、「そこにナビゲーションして」といった曖昧な指示でも文脈から意図を汲み取り、適切なアクションを実行する。

さらに、乗員の位置を認識してカーナビやエアコンの設定を自動で調整する機能や、インターネット検索にも対応。運転中の安全性と快適性を両立させる。

リアルタイムナビとモジュール型インターフェース

ナビゲーション機能も刷新され、他車からのリアルタイムデータを活用した動的ルーティングを実現。地図アプリと他の機能を並行して表示できるモジュール型インターフェースにより、ルートや到着予想時刻などの重要情報は「フローティングカード」として画面上に浮かび上がるため、視認性が向上する。

オープンアプリマーケットで拡張性を強化

プレオス・コネクトでは、オープンアプリマーケットを導入。ユーザーはスマートフォンに依存することなく、音楽ストリーミング、動画視聴、ウェブブラウジングなどのサービスをダウンロードできる。ヒュンダイは今後、エンターテインメントや車両関連のアプリを順次追加し、エコシステムを拡大していく方針だ。

ソフトウェアプラットフォーム化への布石

プレオス・コネクトの最大の特徴は、車両をソフトウェアプラットフォーム化する点にある。今後、定期的なOTA(Over-the-Air)アップデートにより、新機能や改善点が随時提供される予定だ。同システムは2030年までにグループ全体で約2000万台に展開され、ジェネシスキアのモデルにも順次搭載される見込みだ。

「プレオス・コネクトは、運転体験をスマートフォンのように直感的で快適なものに変えることを目指しています。しかし、スマホと違って運転中の安全性を最優先に設計されています」
(ヒュンダイ・モーター・グループ幹部)

唯一の課題は名前?

唯一気になる点があるとすれば、システムの名称「プレオス・コネクト」だ。英語圏では「Please connect!(接続してください)」と聞こえるため、やや違和感を覚えるユーザーもいるかもしれない。しかし、その機能性と革新性は、自動車業界における新たなスタンダードとなる可能性を秘めている。

出典: CarScoops