米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が退任を前に行った最終記者会見後、ビットコインは2%下落し、7万5000ドル台まで値を下げた。FRB内部の政策不一致が市場の不安を招き、暗号資産市場全体に影響が波及した。

暗号資産取引所Krakenのチーフエコノミスト、トーマス・パーフモ氏は、DL Newsに寄稿した分析ノートで「パウエル議長からウォルシュ次期議長への円滑な引き継ぎが行われない可能性が高く、FRB内部の政策不一致が生じるリスクがある」と指摘した。

ビットコインの下落は、FRB内部の混乱が顕在化したタイミングで起きた。市場は年末まで金利据え置きの確率を90%と見込んでおり、政策転換の不透明感が成長資産全般に悪影響を及ぼしている。

FRBの分裂と政策の行方

今回のFOMC会合では4人の理事が「緩和バイアス」に反対するなど、パウエル時代の政策合意に「大きな亀裂」が生じた。これは1992年10月以来、単一の政策決定で最多の反対票となった。反対した3人の理事は、FRBの政策に「緩和バイアス」が見られると主張した。

次期議長候補のケビン・ウォルシュ氏は早期の利下げを公約しているが、パウエル議長はインフレリスクの高まりを強調。特に原油価格が100ドルを超える中、米イラン交渉が停滞している現状を踏まえ、慎重な姿勢を示した。

暗号資産ETF市場への影響

FRBの政策不一致は暗号資産ETF市場にも即座に表れた。会合後、スポットビットコインETFから1億3800万ドルが流出し、4月の回復の一部が相殺された(DefiLlamaデータ)。それでも4月は10月以来の好調な月となり、ビットコインETFへの資金流入は20億ドル近くに達している。

パウエル議長の「引き継ぎ難」

FRBはもはや一枚岩ではなく、パウエル議長が5月15日の議長退任後も理事として残留する意向を表明したことで、権力バランスが複雑化している。通常、議長退任後はFRBを去るのが通例だが、今回は例外的な措置となった。

ウォルシュ氏は同日、上院銀行委員会の承認を得たが、正式な議長就任はまだ先だ。パウエル議長は「影の議長」として振る舞う意図はないと述べたが、理事としての投票権を維持することで、ウォルシュ氏の政策転換の自由度が制限される可能性がある。

パウエル議長はトランプ前大統領によって最初の任期で指名されたが、その後、金利政策を巡って対立。4月初旬にはトランプ氏が「平和的に去らないなら解雇する」と発言していた。

「長年退任を計画していたが、ここ3カ月の出来事で退任できない状況になった」とパウエル議長は述べた。

暗号資産市場の動向

・ビットコイン:過去24時間で1.6%下落、7万5731ドル
・イーサリアム:過去数時間で3.1%下落、2251ドル

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出典: DL News