ドイツの航空大手ルフトハンザグループは、中東情勢の悪化に伴う燃料費高騰を受け、2024年10月までに2万便の短距離便を削減すると発表した。この措置により、約4万トンのジェット燃料消費が削減される見込みだ。

削減の対象となるのは、グループ傘下のルフトハンザ航空、スイスインターナショナルエアラインズ、オーストリア航空、ブリュッセル航空、イタリア航空(ITAエアウェイズ)のネットワーク内で採算が取れていない路線だ。同社は声明で「グローバルな路線網へのアクセスは維持されるが、長距離路線を中心に効率化が図られる」と説明した。

燃料費高騰の背景と影響

ジェット燃料価格は、生産の停滞やホルムズ海峡を含む輸送ルートの混乱により、過去数か月で2倍以上に上昇した。欧州のジェット燃料輸入の41%がホルムズ海峡経由であることから、同社は燃料調達のリスクを最小限に抑える必要に迫られている。

すでに5月31日までに、フランクフルト発のポーランド・ビドゴシチ、ルゼシュフ、ノルウェー・スタヴァンゲル行きなど120便が欠航となっている。この他にも、ドイツのヘリングスドルフ、シュトゥットガルト、ポーランドのヴロツワフ、グダニスク、アイルランド、スロベニア、クロアチア、ルーマニア、ノルウェー、モンテネグロなどの短距離路線が見直しの対象となっている。

これらの路線に乗りたい乗客は、フランクフルト、ミュンヘン、チューリッヒ、ウィーン、ブリュッセル、ローマなどの主要ハブ経由での移動が必要となる。同社は影響を受ける乗客に対して個別に連絡を取り、代替手段を案内するとしている。

今後の動向と業界全体の対応

ルフトハンザグループは、4月下旬から5月上旬にかけてさらなる路線調整を発表する予定だ。夏季の短距離便の運行計画も見直しが進められており、燃料調達の安定化に向けた価格ヘッジを含む対策が講じられる。

同社は「今夏のスケジュールされた便については、燃料供給が安定している」と強調している。

ルフトハンザグループだけでなく、中東情勢の影響は世界の航空業界に広がっている。4月22日にはカナダのエア・トランサットが欧州・カリブ海路線の削減を発表。KLM、エア・インディア、エア・ニュージーランド、デルタ航空も同様の措置を講じている。また、ユナイテッド航空は燃料費の上昇を理由に、今後最大20%の運賃値上げを発表した。