スポーツウェア大手のルルレモンは、26年にわたりナイキで幹部を務めたハイディ・オニール氏を次期CEOに任命した。これにより、6年間CEOを務めたカルビン・マクドナルド氏の後任が正式に決定した。オニール氏は9月8日に就任し、カナダ・バンクーバーにあるルルレモン本社を拠点とする。
同社は、成長鈍化に直面する中、新たな戦略転換を図る意向だ。過去10年間、ルルレモンは急成長を遂げ、年間売上高を26億ドルから106億ドルに拡大。30カ国以上に進出し、カルト的なヨガブランドからグローバルなファッションブランドへと変貌を遂げた。中国市場も第二の拠点として成長し、2022年には靴分野にも進出した。しかし、昨年の売上高成長率は前年から10%に鈍化し、米国関税や消費者支出の低迷、ディズニーとのコラボレーション商品の失敗などが影響した。
創業者で筆頭株主のチップ・ウィルソン氏はウォールストリート・ジャーナル紙に全面広告を掲載し、同社の方向性を厳しく批判。これにより株価が下落し、マクドナルド氏の退任につながったとされる。
新CEOに求められる課題
ルルレモンは、オニール氏を「ビジョンに優れた消費者志向のリーダー」と評価し、同氏の「大規模な成長と変革を推進する実績」を高く評価した。オニール氏はナイキ在籍中、売上高を90億ドルから450億ドル以上に拡大させた実績を持つ。しかし、昨春に行われたナイキの再編で同氏の役職は廃止された。
ルルレモンがナイキの戦略を踏襲できるかは不透明だ。同社はこれまで、ナイキとは対照的な戦略で成長を遂げてきた。例えば、ナイキがスタジアム規模のマーケティングやアスリート起用に注力する一方で、ルルレモンは限定的な商品展開や洗練されたワードローブの提供、独自素材の開発に重点を置いてきた。近年のナイキの課題は、大規模なD2C戦略が製品の独自性を損なった点にあると指摘されており、ルルレモンはこの失敗を繰り返さない必要がある。
消費者信頼の回復が急務
オニール氏が引き継ぐのは、消費者からの信頼を失いつつある企業だ。今春、気候変動アドボカシー団体「Action Speaks Louder」は、再生可能エネルギーを使用した偽のブランド「Mumumelon」を立ち上げ、ルルレモンの定番商品のコピーを販売した。このキャンペーンにより、ヨガインフルエンサーを巻き込んだ議論が巻き起こり、同社の環境対応の遅れが浮き彫りとなった。
ルルレモンは、今後どのような戦略で成長を取り戻すのか注目される。