先週は新規案件が少なかったものの、今週は再び資金調達ラッシュが到来。データセンター関連の分野を中心に、複数の注目案件が発表された。

同僚のAlexander C. Kaufmanが水曜日のAMニュースレターで報じたように、波力発電スタートアップのPanthalassaは、ピーター・ティール氏がリードするラウンドで1億4000万ドルを調達。海上の波力を活用したAI推論コンピューティング向けノードを開発する。

また、データセンターのバックアップ電源ソリューションを手掛けるNyoboltとSkeleton Technologiesも、それぞれ後期ラウンドで新たな資金調達を発表した。さらに、EVバッテリーの再利用システムで注目を集めるRedwood Materialsに続き、Moment Energyも同様のアプローチで4000万ドルを調達。国内マグネシウム生産の再建を目指すプロジェクトや、停滞気味のセクターに希望を与えるグリーンセメントスタートアップTerra CO2への投資も行われた。

超高速充電バッテリーのNyobolt、評価額10億ドル超を達成

ケンブリッジ発のスタートアップNyoboltは、データセンター市場への進出により注目を集め、評価額10億ドル超を達成した。同社は2019年にケンブリッジ大学の研究成果を基に設立され、改良型リチウムイオン化学を採用した超高速充電バッテリーを開発している。

同社の核となる技術は、ニオブタングステン酸化物製のアノード。これにより、80%充電まで5分未満という驚異的な速度と、従来のリチウムイオン電池の10倍に相当するサイクル寿命を実現。さらに、発火リスクも低減されているという。

Nyoboltは直近でシリーズCラウンドとして6000万ドルを調達。急速な商業的成長を背景に、前年比で売上高が5倍に増加。ロボット工学やデータセンター業界の顧客が次々と参入している。

同社の既存顧客であり、自律ロボット企業のSymboticは今回のラウンドをリード。Symboticはこれまでスーパーキャパシタを活用していたが、Nyoboltのバッテリーは6倍のエネルギー容量を軽量パッケージで実現。これにより、ウォルグリーン、ターゲット、クローガーなどの小売業者向け倉庫ロボットが24時間稼働可能になった。

データセンター向けソリューションに注力

Nyoboltは今後、データセンター市場への展開を加速。AIワークロードにおける急激な電力需要の変動への対応や、停電時の一時的なバックアップ電源としての活用を提案している。

現時点では国内データセンター顧客は確定していないものの、インド・ラージャスターン州との間で、100メガワット以上のオフグリッドAIデータセンターおよび電力管理インフラの展開に関する非拘束合意を締結。同国全体への拡大を視野に入れている。

なお、同社の発表資料にはEV自動車メーカー向けの技術提供に関する言及はなかった。しかし、昨夏に行われた取材では、エグゼクティブ・バイスプレジデントのRamesh Narasimhan氏がBBCに対し、Nyoboltのバッテリーが「EV所有体験を一変させる」との見解を示していた。同社の技術は確かに超高速充電を可能にするが、その化学的基盤はEV向けに最適化されていない可能性が示唆される。