米国のトランプ政権が、データセンターを含む大規模施設の建設許認可プロセスを迅速化する規制改正案を発表した。環境保護局(EPA)は11月12日、大気汚染物質を排出する施設の建設前に必要とされてきた「新規発生源審査(New Source Review)」の適用を一部緩和する方針を示した。
現行の規制では、工場や天然ガス発電所など、大気汚染物質を排出する可能性のある施設を建設する際には、事前にEPAの審査を受けることが義務付けられている。しかし、改正案が実施されれば、汚染物質を排出する設備(例えばガスタービン)が設置される前に、コンクリートの基礎工事などの準備作業を開始できるようになる。EPAは今回の改正案でAIデータセンターを直接的に言及していないものの、プレス資料ではトランプ大統領の「規制緩和」に関する大統領令に言及しており、その狙いが明確となっている。
業界と規制当局の反応
この規制改正は、データセンターやエネルギーインフラの建設プロジェクトを数カ月から数年にわたって短縮する可能性がある。また、州の規制当局に対して、大気汚染許可の発行を迫る圧力となることが予想される。これまで州当局は、重大な建設工事が始まるとその工事を中断することに消極的であったが、改正案により、より早期に建設を開始できるようになるためだ。
「規制当局の意図通りの結果が得られるだろう。開発業者はより迅速に動けるようになり、追加の遅延を回避できる。新しいインフラの建設と許認可プロセスの時間短縮につながることは間違いない」
ジェフ・ホルムステッド(Bracewell法律事務所、元EPA大気放射線局長)
環境団体からの批判
一方で、環境団体からは強い反発が寄せられている。彼らは、この規制緩和が天然ガスを動力とするAIデータセンターの普及を加速させ、より汚染度の高い電力源の使用リスクを高めると懸念している。通常であれば、この許認可プロセスを通じて、州や連邦の規制当局が早期段階で汚染対策の必要性や開発業者の設計が周辺地域に与える影響を評価する機会が得られる。また、代替エネルギーの検討を促す場面もあった。
「規制当局には柔軟性があるが、この改正案により、彼らは事前に多くの選択肢を制限されることになる。何が制限されるのかは分からないが、地域住民の懸念に対応したり、大気質への影響を認識したりする機会が奪われる」
サンジャイ・ナラヤン(シエラクラブ首席控訴顧問)
現在、この規制改正の是非を巡る議論は、テキサス州で計画中の大規模データセンター「プロジェクト・マタドール」をめぐっても展開されている。同プロジェクトは、地元住民や環境団体からの反対が強く、規制当局の判断が注目されている。
今後の展望
トランプ政権は、規制緩和によって経済成長とインフラ整備を加速させる狙いだが、環境団体や地域住民の意見を十分に反映できないリスクも指摘されている。今後、パブリックコメントの段階を経て、改正案の最終決定が下される見通しだ。