米国食品医薬品局(FDA)は、乳児用粉ミルク312検体を対象とした調査結果を発表した。その結果、米国の乳児用粉ミルクの安全性は全体として高いことが確認された。その一方で、専門家や保健当局は、依然としてさらなる安全対策の強化が必要だと指摘している。

PFAS(永遠の化学物質)の微量検出

FDAの調査では、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)と呼ばれる「永遠の化学物質」が検出された。PFASは、フライパンのコーティングや防水加工の衣類など、さまざまな製品に使用される人工化学物質だ。高濃度の暴露は、コレステロール値の上昇、腎臓がん、精巣がん、ワクチン効果の低下などとの関連が指摘されている。

調査対象となった312検体のうち、PFASの一種であるPFOSが半数で検出された。このうち95%は、基準値である2.9ppt(1兆分の2.9)未満であった。FDAは、このレベルのPFOSが健康に与える影響は現時点では不明としている。

専門家の見解と今後の課題

米国小児科学会(AAP)の専門家らは、乳児の健康を守るためには、PFASを含む有害物質のさらなる規制強化が必要だと主張している。特に、乳児の8割以上が粉ミルクを摂取している現状を踏まえ、メーカーに対する厳格な基準の設定や、代替物質への移行促進が求められている。

また、消費者団体からは、PFASの完全な除去を目指すべきだとの声も上がっている。一方で、FDAは現時点での基準値内であれば安全であるとの見解を示しており、さらなる研究の必要性を強調している。

乳児用粉ミルクの安全性向上に向けた取り組み

  • メーカーの自主基準強化:PFASフリーの原材料使用や、製造工程における厳格な管理の徹底。
  • 政府による規制強化:PFASの使用制限や、乳児用食品への含有量基準の厳格化。
  • 消費者への情報提供:PFASを含む製品の表示義務化や、代替製品の普及促進。
  • 研究の推進:PFASの健康影響に関する長期的な研究の実施と、その結果に基づく政策立案。
「乳児用粉ミルクの安全性は全体として高いが、PFASなどの有害物質に対するさらなる対策は必要だ。今後も科学的根拠に基づいた規制強化を進めていく。」
— FDA広報担当者

今後の展望

FDAは、今後も乳児用粉ミルクの安全性向上に向けた取り組みを継続する方針だ。特に、PFASのような有害物質の検出状況を注視し、必要に応じて規制を強化していくとしている。消費者にとっては、製品選びの際に成分表示を確認することが重要となるだろう。

出典: STAT News