夏の暑さが本格化するこの時期、古いクルマを所有するドライバーにとって、冷却システムの効率的な維持は大きな課題だ。冷却液の色(グリーン、イエロー、レッド)についての知識は広まっているが、それだけでは不十分な場合もある。そこで注目されるのが、冷却システム用の添加剤だ。しかし、その効果や安全性については慎重な判断が必要だ。

添加剤の効果とリスク

冷却システム用の添加剤には、水よりも冷却効果を高める「ウェット・ウォーター」タイプの製品がある。しかし、その効果は使用する車両や環境によって大きく異なる。専門家のサジーブ・メータ氏は、自身の経験を踏まえながら、以下のように解説する。

「数十年前に「ウェット・ウォーター」タイプの添加剤を使用したが、効果はなかった。しかし、これはあくまで私の車両に限った話であり、全ての車両に当てはまるわけではない。」

メータ氏は、古いクルマの冷却システムを最適化するためには、まず基本的なメンテナンスが重要だと指摘する。具体的には、ラジエーターの清掃(内部のフラッシュと外部の汚れ除去)、ウォーターポンプの健全性確認、スケールの除去などが挙げられる。これらの基本的な対策を講じた上で、それでも冷却性能に不安がある場合に限り、添加剤の使用を検討すべきだという。

冷却システムのアップグレードが最優先

メータ氏は、冷却システムの性能向上には、部品のアップグレードが最も効果的だと主張する。具体的には、以下のような改良が推奨される。

  • ラジエーターコアの拡大または交換:より大きなラジエーターコアを採用することで、放熱効率が向上する。
  • ファンクラッチの強化:重 duty タイプのファンクラッチを使用することで、エンジンの冷却効率が安定する。
  • ファンシュラウドの追加:ラジエーターへの気流を最適化し、冷却効率を高める。

メータ氏は、自身のフォード・フォックスボディ(プロジェクト・ヴァレンティーノ)でこれらの改良を実施し、20年以上にわたり安定した冷却性能を維持しているという。これらのアップグレードは、車両の将来性を高めるだけでなく、エンジンのオーバーヒートリスクを大幅に低減する。

添加剤の使用は慎重に

メータ氏は、添加剤の使用には注意が必要だと強調する。実験室レベルでは冷却効率が向上する製品もあるが、実際の走行環境ではその効果が限定的な場合がある。例えば、走行環境や運転スタイル、車両の状態によっては、添加剤が逆に冷却性能を低下させる可能性もある。

「実験室での結果と実際の走行環境では、大きな隔たりがある。冷却システムの最適化は、バランスの取れたアプローチが不可欠だ。」

メータ氏は、添加剤を使用する場合でも、まずは基本的な冷却システムのメンテナンスを徹底し、その上で添加剤の効果を検証することを推奨する。また、添加剤の使用量や種類についても、メーカーの推奨に従うことが重要だ。

冷却システム最適化のための具体的なステップ

メータ氏は、冷却システムの最適化に向けて、以下のステップを提案する。

  • ラジエーターの内部洗浄(フラッシュ):スケールやサビを除去し、冷却効率を回復させる。
  • ラジエーターの外部洗浄:虫や埃、汚れを除去し、気流を確保する。
  • エアコン室外機のラジエーターも清掃:家庭用エアコンの室外機のラジエーターも同時に清掃することで、冷却効率が向上する。
  • ウォーターポンプの点検:ウォーターポンプの動作不良は冷却性能の低下に直結するため、定期的な点検が必要だ。
  • ファンの動作確認:ファンが正常に動作しているか、ファンベルトの張り具合やファンクラッチの状態を確認する。

これらのステップを実施することで、冷却システムの基本性能を最大限に引き出すことができる。その上で、それでも冷却性能に不安がある場合に限り、添加剤の使用を検討することが賢明だ。

出典: Hagerty