ポルシェ、空冷技術を現代に蘇らせる新冷却システムを開発
ポルシェは、空冷エンジンの技術的特徴を現代のスポーツカーに取り入れた新しい冷却システムの特許を出願した。このシステムは、従来の液冷エンジンに能動的な空冷機能を組み合わせ、重量軽減や空力性能の向上、エンジンの早期暖気などのメリットを提供する可能性がある。
液冷と空冷のハイブリッドシステム
特許はドイツ特許商標庁(DPMA)に2025年に出願され、2025年5月7日に公開された。システム名は「空冷と液冷を併用した内燃機関を搭載した車両」とされており、従来の空冷技術に完全に依存するのではなく、液冷と空冷のハイブリッド方式を採用している。
具体的には、従来の液冷エンジンに加え、エンジン周辺に大型ファンを用いた空気流を能動的に制御する仕組みだ。冷却ファンを通過した空気はエンジンブロック、ターボチャージャー、排気部品周辺を通過し、車両後方から排出される。この構造は、古典的な空冷911の発想に近く、クランクケースに冷却フィンを設けることも検討されている。
重量軽減と空力性能の向上
特許によると、このシステムには大きなパッケージング上の利点がある。ラジエーターをエンジン近くに配置することで、冷却配管を短く軽量化でき、前面の開口部を大幅に小さくすることが可能だ。これにより、空力性能の向上が期待できる。
さらに、エンジンの早期暖気にも貢献する。冷間始動時には空気の流れを逆転させ、エンジンルーム内の暖気や排気熱を再循環させることで、エンジンを素早く作動温度まで上昇させる。また、後方へのダウンフォース増加にも寄与する可能性が示唆されている。
実用化への課題
この技術が市販化されるかどうかは不透明だが、ポルシェがファン騒音の課題をどのように克服するかに注目が集まる。空冷エンジンが993で廃止された理由の一つがファン騒音であったことを踏まえると、静音化技術の進化が鍵を握るだろう。
もし実用化されれば、将来のミッドシップやリアエンジンのスポーツカーに搭載される可能性があり、ポルシェファンにとっては「古き良き時代の空気を吸う」ような体験が実現するかもしれない。
関連情報
- ポルシェのGT部門責任者は、欧州におけるNAエンジン搭載GT3カーの廃止の可能性を示唆したが、米国では引き続きNAエンジンが使用される見通し。
「この技術は、ポルシェの伝統的なエンジニアリングと現代の性能要件を融合させた画期的な取り組みです。実用化されれば、新たなスポーツカーの可能性を切り開くでしょう。」
出典:ポルシェ/DPMA
参考:AMS/Alvolante