米フロリダ州フォートローダーデール沖の海域で、ダイバーが2012年夏に侵略的外来種のライオンフィッシュを銛で捕獲した。このライオンフィッシュの皮を革に加工する米マイアミ発のスタートアップ「Inversa」が、環境保護と経済成長を両立させる新たなビジネスモデルを展開している。

同社の革製品は、フロリダ州に生息するライオンフィッシュやビルマニシキヘビ、イグアナなどの侵略的外来種から作られており、これらの生物が在来生態系に与える悪影響を低減しながら、高級素材として活用されている。例えば、スウェーデンのアウトドア用品メーカー「Grundéns」は、ライオンフィッシュの革を使用したサンダルを発売しており、消費者から注目を集めている。

この革製品のビジネスモデルは、環境保護と経済成長を同時に実現する「二重の利益」を生み出す可能性を秘めている。このコンセプトをさらに推進するために設立されたのが、米国初の生物多様性専門ベンチャーキャピタル「Superorganism」だ。

同社は今年初め、Cisco FoundationやWalmartの創業者一族が設立した投資ファーム「Builders Vision」などから約2600万ドルの資金を調達し、現在までに21のスタートアップに投資を行っている。Superorganismの共同創業者であるKevin Webb氏は、同社の投資基準について次のように説明する。

「私たちの使命は、経済的リターンと生態学的リターンの両方で、他を圧倒する成果を上げられるビジネスを見つけることです」

Webb氏は、環境保護と経済成長を両立させるビジネスモデルの可能性について、歴史的な先例を踏まえながらも、新たな技術革新がその解決策となり得ると指摘する。例えば、農業分野における新技術は、従来よりも効率的に作物を収穫しながら環境負荷を低減する可能性があり、ベンチャーキャピタルにとって魅力的な投資対象となるという。

Superorganismが現在投資している21社のうち、Webb氏が特に注目する3社を紹介する。

風力発電の鳥類衝突リスクを低減する「Spoor」

風力発電所周辺の鳥類やコウモリ類をカメラとAIでモニタリングし、タービンとの衝突リスクを評価・低減する技術を開発。エネルギー企業や規制当局がリスク管理を行う上で重要なツールとなる。

海洋プラスチック問題に取り組む「The Ocean Cleanup」

海洋プラスチックごみを回収し、リサイクル素材として再利用する技術を開発。同社の技術は、海洋環境の保護とプラスチック産業の持続可能な発展に貢献している。

持続可能な農業を支援する「Indigo Agriculture」

微生物を活用して土壌の健康を向上させ、農薬や化学肥料の使用を削減する技術を開発。同社のソリューションは、農業の持続可能性と収益性の両立を目指す農家に支持されている。

生物多様性の保護と経済成長の両立は、従来のビジネスモデルでは困難とされてきた課題だ。しかし、Superorganismをはじめとする新たなベンチャー投資が、この難題に挑戦し、持続可能な未来を切り拓こうとしている。

出典: Vox