最高裁が人種基準の選挙区改編を否定、南部の共和党優位が加速
米連邦最高裁は6月27日、ルイジアナ州の選挙区改編に関する判決「ルイジアナ州対カレー事件(Louisiana v. Callais)」で、人種を理由とした選挙区割りの強制を事実上否定する判断を示した。これにより、南部諸州における共和党の優位がさらに加速する可能性が高まっている。
「多数・少数区」制度の事実上の廃止、共和党に有利な選挙区再編へ
1965年の投票権法(VRA)は、南部の黒人有権者の政治的発言力を保護するために制定された。しかし、今回の判決により、これまで人種的配慮から設けられていた「多数・少数区(majority-minority districts)」の強制が事実上不可能になった。これにより、共和党は選挙区の再編でより多くの議席を獲得できるようになると見られている。
専門家によると、ルイジアナ州やテキサス州など南部の州では、共和党がこれまで民主党が議席を確保していた選挙区を奪い、最大19議席を新たに獲得する可能性があるという。これは、2024年の選挙だけでなく、2026年、2028年と続く選挙にも影響を及ぼす可能性が高い。
民主党も反撃策を模索、7州で選挙区改編を検討
民主党側もこれに対抗するため、選挙区改編の「報復」を検討している。投票権団体「フェア・ファイト・アクション(Fair Fight Action)」は、ニューヨーク、コロラド、オレゴン、メリーランド、ウィスコンシン、ペンシルベニア、ミネソタの7州で民主党優位の選挙区改編を進めることで、共和党の議席獲得を相殺できると主張している。
同団体のマックス・フルグラス氏は「これは米国の民主主義にとっての緊急事態だ。民主党にはこのGOPの権力奪取を食い止める明確な道がある」と述べた。しかし、選挙区改編を巡る「報復合戦」は、民主主義の健全性をさらに損なう可能性も指摘されている。
専門家「民主主義の危機は10年以上前から進行中」
選挙区改編を巡る党派間の対立は、2010年以降ますます激化している。テキサス州やカリフォルニア州などでは、共和党と民主党が互いに選挙区を有利に改編する「党派的ゲリマンダー(partisan gerrymandering)」を進めてきた。その結果、有権者の選択肢が狭まり、政治的分極化が進んでいる。
米国の民主主義を支援するメディア「ザ・バルウォーク(The Bulwark)」は、こうした状況を「民主主義の危機」と位置づけ、選挙区改編の問題を含む民主主義を守るための報道を続けている。
今後の選挙への影響は?
今回の最高裁判決により、南部の州では共和党が選挙区を自在に再編できるようになった。これにより、2024年の連邦議会選挙だけでなく、2026年の中間選挙、2028年の大統領選挙にも影響が及ぶ可能性が高い。民主党は反撃策を模索しているが、その効果や副作用については議論が続いている。
選挙区改編を巡る党派間の対立は、今後ますます激化することが予想される。米国の民主主義がどのように変化していくのか、注目が集まっている。