連邦最高裁が「米国対モリソン事件」で画期的判決
2000年5月15日、米国連邦最高裁は「米国対モリソン事件」(United States v. Morrison)において、暴力犯罪被害者法(Violence Against Women Act, VAWA)の一部を違憲とする判決を下した。この判決は、連邦議会が制定した法律の権限を巡る重要な司法判断として、連邦主義の原則を再定義するものとなった。
事件の背景と争点
本事件は、バージニア工科大学の学生クリスティ・ブリリンクスが、同大学のフットボール選手によって性的暴行を受けたとして、加害者と大学を相手に損害賠償を求めた民事訴訟に端を発する。ブリリンクスはVAWAに基づき、連邦裁判所で訴訟を提起したが、被告側はVAWAの規定が連邦議会の権限を超えていると主張した。
連邦最高裁は、VAWA第13981条の規定が、州間通商や外国との通商に直接関係しない犯罪に対する連邦法の適用を認めるものであり、憲法の権限規定に違反すると判断した。具体的には、第13981条は「性的暴行に関連する経済活動」を規制するものとされていたが、最高裁はこれが連邦議会の権限を逸脱していると結論付けた。
判決の意義と影響
この判決は、連邦議会の立法権限を厳格に解釈するものであり、州の権限を強化する方向に働いた。特に、連邦法が州の刑事司法制度に介入することを制限する判断は、連邦主義の原則を再確認するものとなった。
また、VAWAそのものの存続にも影響を与え、その後の改正や運用に関する議論を巻き起こした。被害者支援団体からは批判の声が上がった一方で、州の自治権を重視する立場からは支持された。
連邦主義の再確認
連邦最高裁の判決は、連邦議会が制定する法律の憲法上の根拠を厳格に審査する姿勢を示した。これにより、州の権限が強化され、連邦政府の権限が制限されるケースが増加した。この判決は、その後の連邦最高裁における憲法解釈にも影響を与え続けている。
「連邦議会の権限は憲法に明記された範囲内でのみ行使されるべきであり、州の権限を侵害することは許されない」
— 連邦最高裁判決文より