米国人2人が北朝鮮IT工作員を支援、禁固18カ月の判決

米司法省は5月7日、北朝鮮のリモートIT工作員スキームを支援する「ラップトップファーム」を運営したとして、米国人2人が禁固18カ月の判決を受けたと発表した。マシュー・アイザック・クヌート(Matthew Issac Knoot)氏とエリック・ンテケレゼ・プリンス(Erick Ntekereze Prince)氏は、それぞれ自宅でラップトップを受け入れ、米企業に北朝鮮のIT工作員が米国内で勤務しているように偽装させていた。

70社以上の米企業が被害、北朝鮮に120万ドル超の資金流入

両者の活動により、計70社近くの米企業が影響を受け、北朝鮮体制に計120万ドル以上の収益をもたらしたとされる。FBIサイバー部門の責任者ブレット・レザーマン(Brett Leatherman)氏は声明で次のように述べた。

「FBIと関係機関は、北朝鮮が制裁を回避し独裁体制を維持する能力を断ち切るため、引き続き取り組みを強化します。これらの事件は、このようなスキームを支援する米国人が特定され、責任を問われることを示すものです。北朝鮮のIT工作員にラップトップを提供する行為は連邦犯罪であり、国家安全保障に直接影響します。今回の判決は、このような行為を検討する者への警告となるでしょう。」

プリンス被告の活動と経済的損失

プリンス被告はニューヨーク在住で、2020年6月から2024年8月にかけて、自身の企業「Taggcar」を通じて米企業にIT労働者を供給していた。2025年11月に電信詐欺共謀罪で有罪を認め、2025年1月には共謀者と共に起訴された。共謀者らは64社の米企業で北朝鮮IT工作員の雇用を斡旋し、約95万ドルの給与を受領していた。プリンス被告は5月7日に判決を受け、個人的に得た8万9000ドルの没収を命じられた。

クヌート被告の隠蔽工作と経済的制裁

テネシー州ナッシュビル在住のクヌート被告は、2024年8月に逮捕された。FBIが2023年に自宅を捜索した際、複数の虚偽供述と証拠隠滅を行っていたことが判明した。被害企業は2022年7月から2023年8月にかけて、クヌート被告のラップトップファームに関連する北朝鮮IT工作員に25万ドル以上を支払っていた。これらの資金はクヌート被告と北朝鮮・中国関係者の口座に送金されていたという。クヌート被告は5月1日に判決を受け、被害企業への1万5100ドルの賠償と、同額の没収を命じられた。

北朝鮮IT工作員スキームの実態と対策

今回の事件は、北朝鮮が年間数億ドル規模の資金を軍事・武器開発プログラムに充てるスキームの一端に過ぎない。当局は暗号資産の差し押さえや、偽造・盗難IDの提供、ラップトップファームの運営など米国内の支援者を標的に摘発を強化しているが、スキームは依然として広範に及んでおり、フォーチュン500企業を含む多数の企業に浸透している可能性がある。

出典: CyberScoop