米国の電気自動車(EV)市場で存在感を示していたフィスカー(Fisker Inc.)だが、同社のサービス網は限定的だった。そんな中、ペンシルベニア州バックス郡にある無名の自動車整備工場「EVolution Autosports」が、全米唯一のフィスカー専門サービス拠点として注目を集めてきた。
同社は3つの整備ベイ、30台収容可能な駐車場、小さなレンガ造りの事務所を有する小規模な施設ながら、フィスカー車両の修理・整備を一手に引き受けてきた。創業者のジョー・フェランテ氏は2014年、ニュージャージー州チェリーヒルに「Fisker of Cherry Hill」を設立。当時のフィスカーはテスラのような存在を目指していたが、経営難に陥り、多くの車両が放置される事態となった。その結果、フィスカー車両の所有者はアフターマーケットにサポートを求めるようになり、フェランテ氏がそのニーズに応えたのだ。
全米唯一のフィスカー専門サービス拠点
フェランテ氏は現在、EVolution Autosportsを通じて、フィスカーの工場出荷時部品をすべて保有しており、4,000平方フィート(約370平方メートル)の別棟倉庫に保管している。また同社は、フィスカー車両の信頼性を向上させる「バレットプルーフ(bulletproofing)」と呼ばれる独自の改良プロセスの特許も保有している。
例えば、動画クリエイターのリッチ・リビルズ(Rich Rebuilds)が100ドルで修理したという「蘇った」フィスカー・オーシャンも、EVolution Autosportsが技術支援を行っている。
「これらの車は非常に珍しく、ユニークな存在です。多くのディーラーはこの小規模なニッチ市場を軽視するかもしれませんが、私は粘り強く取り組み、競合を凌駕することで、この事業を成長させてきました」
ジョー・フェランテ氏(Facebook投稿より)
売却に際し、コミュニティへの配慮を表明
フェランテ氏は、フィスカー車両の所有者コミュニティに対し、慌てる必要はないと強調する。自身が事業から完全に撤退するわけではなく、信頼できる買い手が見つかるまで現体制を維持すると述べている。
「私の売却理由は長期的なものであり、緊急のものではありません。5年から10年かけて適切な相手に引き継ぐことになっても構いません。私はこれらの所有者を家族のように思っており、私の評判を守るためにも、責任を持って事業を引き継ぎたいのです」とフェランテ氏は語った。
また、同社の小規模な拠点が売却のメリットになると指摘する。フェランテ氏は「この施設は現在の場所にとどまる必要はなく、既存の他の事業に統合することが可能です。できれば東海岸で」と述べ、買収先の条件として柔軟性を示した。
現在は、フェランテ氏のFacebookを通じて、買い手探しが進められている。フィスカー車両の所有者にとって、同社の存在は貴重な存在であり、今後もサービスが継続されることへの期待が高まっている。