米国心臓病学会(ACC)、米国心臓協会(AHA)、および主要医療団体11団体は、血中脂質異常症(dyslipidemia)の管理に関する新たなガイドラインを発表した。従来の2018年ガイドラインを大幅に改訂し、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスク評価と管理に焦点を当てた内容となっている。

新ガイドラインの主な変更点

  • 早期スクリーニングの強化:従来よりも早い段階での血中脂質検査と治療の開始を推奨
  • 管理基準の厳格化:LDLコレステロールだけでなく、トリグリセリドやリポ蛋白(a)など、複数の脂質を対象に包括的な管理を提言
  • 生涯にわたる予防戦略:若年層からの生活習慣改善と薬物療法の早期導入を重視
  • PREVENT-ASCVD式の採用:新たなリスク評価式を導入し、より精度の高いリスク予測を実現

ガイドライン策定の背景

血中脂質異常症は、血中のコレステロールやトリグリセリドなどの脂質が異常値を示す状態を指す。ACCとAHAを中心とした11団体は、心血管疾患の主要なリスク因子であるLDLコレステロールに加え、動脈硬化の進行に関与する他の脂質成分(トリグリセリドやリポ蛋白(a)など)にも注目。これらの包括的な管理により、心筋梗塞や脳卒中のリスク低減を目指す。

専門家の見解

「心血管疾患の80%以上は予防可能であり、その中でもLDLコレステロールの上昇は主要なリスク因子です。生活習慣の改善を第一に進めつつ、それでも目標値に達しない場合は、従来よりも早期に薬物療法を検討すべきです。また、LDLコレステロールを長期間低く保つことで、将来的な心筋梗塞や脳卒中のリスクを大幅に軽減できます」
ロジャー・ブルーメンソール医師(ガイドライン策定委員長、ジョンズ・ホプキンス病院循環器内科教授)

米国における現状と課題

米国では成人の4人に1人がLDLコレステロール高値であり、心血管疾患のリスクが高まっている。ジャック・ウルフソン医師(自然心臓ドクター代表)は、血中脂質の異常が代謝の問題を示すサインであると指摘。インスリン抵抗性、慢性炎症、酸化ストレス、栄養不足、毒素曝露などの根本的な要因に対処することで、全身の健康改善につながると述べた。

実践的なアプローチ

新ガイドラインは、エビデンスに基づく推奨事項を一冊にまとめた「ワンストップ・ショップ」として機能。血中脂質の包括的な評価と治療により、ASCVDの発症リスクを効果的に低減することを目指す。ASCVDは、動脈内への脂肪沈着によって引き起こされる疾患であり、世界的な死亡原因の上位を占めている。

出典: Healthline