米軍は、イランへの攻撃開始からわずか24時間で1,000を超える目標に対し、精密攻撃を実施した。これは20年以上前に行われた「ショック・アンド・アウー」作戦の規模をほぼ倍増させる成果であり、AIシステムの導入がその鍵となった。

その中核を担ったのが、「プロジェクト・メイヴン(Project Maven)」と呼ばれるAIシステムだ。同システムは、ドローン映像にコンピュータービジョンを適用する実験として、2017年に始動した。

ジャーナリストのカトリーナ・マンスン氏は、新著『Project Maven: A Marine Colonel, His Team, and the Dawn of AI Warfare』で、メイヴンの開発経緯と、その軍事利用の拡大過程を詳細に描いている。同プロジェクトは、当初は軍事請負業者のGoogle社との契約からスタートしたが、社内の従業員からの抗議を受け、大きな注目を集めることとなった。

マンスン氏の調査によると、メイヴンは当初、軍の意思決定を支援するためのAIツールとして開発された。具体的には、ドローンが撮影した映像をリアルタイムで解析し、攻撃対象の特定を迅速化することを目的としていた。これにより、従来の人手による分析と比較して、目標の絞り込みにかかる時間が大幅に短縮された。

しかし、プロジェクトの存在が明らかになると、Google社内では倫理的な懸念から抗議運動が巻き起こった。同社の従業員らは、軍事利用を目的としたAI技術の開発に反対し、プロジェクトからの撤退を求める署名活動や抗議行動を展開した。その結果、Googleは2018年にプロジェクトからの離脱を発表したものの、米軍は他の企業との協力を継続し、メイヴンのさらなる発展を推進した。

マンスン氏は、メイヴンの成功が軍事分野におけるAI技術の受容を加速させたと指摘する。同システムは、その後の軍事作戦においても活用され、より迅速かつ正確な攻撃判断を可能にした。また、AI技術が軍事戦略に与える影響についても、同書で詳しく論じられている。

一方で、AI技術の軍事利用に対する倫理的な議論も依然として続いている。マンスン氏は、軍事分野におけるAIの導入がもたらすリスクとメリットについて、バランスの取れた視点を提示している。

出典: The Verge