米軍最高指導者が否定した「イラン戦争終結」の主張

米国の最高軍事指導者である統合参謀本部議長、ダン・ケイン将軍は、トランプ大統領が繰り返し主張してきた「米イスラエルとの共同戦争は終結した」との発言を裏付ける証拠を示すことができなかった。

5月13日に開催された上院歳出委員会の公聴会では、議員から半兆ドルに上るイラン戦争予算の正当性について厳しい追及が行われた。その中で、民主党のディック・ダービン上院議員はケイン将軍に対し、具体的な戦争目標とその達成状況について質問した。

議員の鋭い追及に曖昧な回答

ダービン議員:「大統領は過去数カ月にわたり、戦争は終結した、紛争は解決されたと繰り返し主張しています。米国のイランに対する戦争の目標とは何だったのでしょうか。そして、その目標は達成されたのでしょうか?」

ケイン将軍は、この直接的な質問に対し明確な回答を避けた。

ケイン将軍:「議員殿、私は現在の職務において、皆様、米国民、統合軍、そして大統領との信頼関係を維持する必要があります。軍事目標の設定は政治指導者と民間のリーダーによって行われます。私はその判断を差し控えます。」

ダービン議員が再度同じ質問を繰り返すと、ケイン将軍は再び回答を拒否し、国防長官や大統領に委ねると述べた。

ホルムズ海峡の現状を「勝利」と認めず

ダービン議員はさらに、イランの攻撃を受けたにもかかわらずホルムズ海峡が機能停止に陥り、1,500隻以上のタンカーが航行許可を待っている現状について、軍事的勝利といえるのかと質問した。

ケイン将軍はこれに対し、軍事的な観点からイランが世界経済を人質に取っている状況だと説明したが、勝利を認める発言はなかった。

ケイン将軍:「軍事的には、イランが南側から軍事力を行使し、世界経済を人質に取っている状況です。イランにはこの状況を再考するよう促します。また、同盟国やパートナーにはこの戦術的問題に対処する機会があると考えています。」

この回答からは、米国が勝利を収めているとの印象は一切感じられなかった。

防衛長官も曖昧な発言で追及をかわす

公聴会には国防長官のピート・ヘグセス氏も同席していたが、議員からの質問に対し同様に曖昧な回答に終始した。議員らは、半兆ドルに上る戦費の正当性を問うたが、具体的な成果や戦略については明確な説明がなかった。

軍事専門家からは、米国がイランとの戦争で勝利を宣言できる状況にはないとの見方が強まっている。一方で、トランプ政権は「戦争は終結した」との主張を繰り返しているが、軍の最高指導者でさえその根拠を示せていないのが現状だ。