米南カリフォルニア大学の研究チームは、50歳未満の非喫煙者が果物、野菜、全粒穀物を多く摂取すると、肺がんの発症リスクが一般集団よりも高くなる可能性を示す研究結果を発表した。研究者らはその原因として、農作物に使用される農薬の残留が関連している可能性を指摘している。

同研究は、4月17日から22日にかけて開催された米国がん研究学会(AACR)の年次総会で発表されたものの、査読付き学術誌には未掲載である。研究規模は小さく、因果関係を証明するものではないため、専門家らは健康食品の摂取を控えるべきではないと注意を促している。

非喫煙者の肺がんリスク上昇に関する新たな知見

研究では、50歳までに肺がんと診断された187人の患者を対象に、喫煙歴、食生活、人口統計学的データを調査した。対象者の大半は非喫煙者で、喫煙が原因となる肺がんとは異なる生物学的特徴を持つ肺がんと診断されていた。

研究チームは、米国人の食生活を100点満点で評価する「ヘルシー・イーティング・インデックス(HEI)」を用いて、対象者の食生活と一般米国人の食生活を比較した。その結果、若年非喫煙者の肺がん患者は、一般集団と比較してHEIスコアが高い傾向にあった。

「若年非喫煙者で健康的な食品を多く摂取する人ほど肺がんリスクが高いという、一見矛盾するような結果は、健康食品に潜む未知の環境リスク要因の存在を示唆しています。この問題について、さらなる研究が必要です」

Jorge Nieva医師(米南カリフォルニア大学ノリスがんセンター、研究主任)

農薬残留が原因か?専門家の見解

研究者らは、非有機栽培の果物、野菜、全粒穀物は、加工食品や肉、乳製品と比較して農薬残留レベルが高いと指摘。農業従事者の肺がんリスクが高いとする過去の研究結果も、この仮説を支持するものだとしている。

米国では1980年代以降、喫煙率の低下に伴い肺がんの発症率も減少してきた。しかし、50歳以下の非喫煙者、特に女性の間では肺がんの発症率が上昇しており、この傾向は「非常に懸念すべきものだ」と、研究に関与していない米メモリアルケア・ロングビーチ医療センターのJimmy Johannes医師(肺・集中治療専門医)は述べている。

健康食品の摂取を控えるべきか?

研究結果は因果関係を証明するものではなく、健康食品の摂取を控えるべきではないと専門家らは強調する。米国がん協会(ACS)も、果物や野菜の摂取が肺がんリスクを低下させる可能性を示す研究結果を複数発表しており、バランスの取れた食生活の重要性を訴えている。

研究チームは今後、より大規模な研究を実施し、農薬残留と肺がんリスクの関連性をさらに検証する計画だ。

出典: Healthline