米国では、アルコールが他のどの薬物よりも多くの命を奪っているにもかかわらず、公衆衛生上の緊急事態とは見なされていない。薬物問題の議論は、主にフェンタニルやメタンフェタミンなどの違法薬物に集中しており、アルコールの危険性は軽視されがちだ。
医療ジャーナリズムメディア「STAT」の記者、イザベラ・クエト氏とレフ・ファッチャー氏は、この矛盾に注目。数か月にわたり調査を重ね、アルコールがいかに危険な物質でありながら、社会的な認識が低いのかを分析した。同氏らは先週、「最も致命的な薬物」と題したシリーズ記事を公開し、その実態に迫っている。
アルコールの危険性が見過ごされる理由
- 社会的受容性の高さ:アルコールは文化的・社会的行事に根付いており、その有害性が見えにくくなっている。
- 規制の甘さ:違法薬物と比較して、アルコールの規制は緩く、広告や販売が広く認められている。
- 依存症への偏見:アルコール依存症は「意志の弱さ」と誤解されがちで、医療支援の対象とされにくい。
専門家の見解
「アルコールは合法的な薬物でありながら、年間約14万人の米国人を死に至らしめている。これは交通事故や銃撃事件による死亡者数を上回る数字だ」
(米国立アルコール乱用・依存症研究所)
同研究所によると、アルコール関連の死亡は1999年から2017年にかけて倍増しており、その背景には過剰飲酒や慢性的な依存症が深く関与しているという。
今後の課題
専門家らは、アルコールの危険性を広く啓発するとともに、規制強化や医療支援の拡充を求めている。一方で、アルコール産業の影響力が政策決定に及ぼす影響も指摘されており、解決には多角的な取り組みが必要とされている。
出典:
STAT News