米国ネブラスカ州コザド地区の消防署長、ジェイソン・シュナイダーは、迫り来る猛火との戦いに直面していた。コットンウッド火災は、急斜面と狭い谷が続くロース渓谷地帯を襲い、侵入した外来樹種のレッドシダーが火災をさらに拡大させていた。シュナイダーはこう振り返る。「火を消したと思って北へ進んでも、振り返れば南で再び炎が上がっている。制圧は容易ではなかった」と。

状況が好転したのは、サウスループ焼却協会との連携がきっかけだった。同協会は地主や牧場主で構成され、火災との戦い方をシュナイダーらボランティア消防隊に伝授。事前焼却と呼ばれる手法で、火災の前進ルートに計画的に小規模な火を放ち、燃料となる可燃物を除去する方法を実践した。これにより、コットンウッド火災の92%が封じ込められた。

ネブラスカ州の消防隊の約92%はボランティアで運営されており、州の消火体制は脆弱だ。しかし、同州の山火事シーズンは夏や秋ではなく、春にピークを迎える。今年は記録的な被害となり、5月6日までに約98万1,502エーカーが焼失。牧場主に深刻な打撃を与えている。

管理放火の功罪:火で火を制す難しさ

コットンウッド火災は、事前焼却と過去の管理放火の成果で抑えられた成功例とされる。だが、同じ月に隣接する地区では、管理放火の残り火が強風で再燃し、ロード203火災が発生。約3万6,000エーカーを焼失した。管理放火が新たな災害を招くリスクが浮き彫りとなった。

米国全土で深刻化する山火事問題。カリフォルニア州からフロリダ州、ニュージャージー州まで、各地の消防当局は管理放火の活用を拡大している。2020年には、ミシシッピ、アラバマ、ジョージア、サウスカロライナの4州で25万~100万エーカー、カリフォルニア、ワシントン、オレゴン、アリゾナの4州で5万~25万エーカーが管理放火により焼かれたというデータもある。

ネブラスカ州でも、特に東部と中央部で管理放火が一般化しつつある。ネブラスカ管理放火協議会によると、2025年は過去数年で最も多くの面積が管理放火により処理された年となった。

専門家が指摘する課題

ネブラスカ大学リンカーン校の放牧地・火災生態学者、ディラック・トゥイッドウェルはこう語る。「管理放火は、最悪の山火事を防ぐ有効な手段だ。しかし、実施には厳格な計画と実行が必要であり、気象条件や地形を考慮しなければならない」。

気候変動と長年の火災管理の失敗が、米国の景観を燃えやすい状態に変えている。管理放火はリスクを伴うが、その一方で、無秩序な山火事の拡大を防ぐための貴重なツールでもある。ネブラスカ州の事例は、その難しさと可能性を同時に示している。

出典: Grist