電動トラック普及の第一歩:短距離輸送から始まったEV化
トラック業界の電動化は、まず短距離輸送から始まった。港湾と倉庫間のコンテナ輸送や都市内配送など、1回の充電で運行が完結するルートに限定されたEVトラックが導入された。大型トラックは重量があり、充電に時間がかかるため、夜間に基地で充電する運用が現実的だった。
長距離輸送実現の鍵:メガワット級充電インフラ
しかし、トラックの長距離輸送や全国規模の運行を実現するには、従来の350kW級充電器では不十分だ。一般的な乗用車向け充電器と比較して、トラックは桁違いの電力を必要とする。例えば、350kW充電器でトラックを満充電するには数時間かかり、トラックドライバーの運行スケジュールに支障をきたす。
そこで注目されているのが、メガワット級充電技術だ。600kW以上の充電能力を持ち、最大で1.2MW(1,200kW)に達する充電器が開発されている。テスラの「メガチャージャー」はその代表例で、1.2MW充電器を使用すれば、トラックのバッテリーを60%まで約30分で充電できる。これは、トラックドライバーが8時間の運転後に義務付けられている休憩時間とほぼ同等だ。
ヘンリー・ジョンソン(Alpitronic社)によると、700~800kWの充電器でも、トラックに必要な充電を45分程度で完了できるという。欧州ではすでにメガワット級充電が実用化されており、米国も追随しつつある。
米国におけるメガワット充電の展開
米国では、ダイムラー傘下のGreenlane社が、電動トラックと水素トラック向けの充填・充電ステーション網の構築を進めている。同社のCEO、パトリック・マクドナルド=キング氏は「メガワット充電は今年導入される。当社はメガワット充電を前提にインフラを整備する」と語る。
カリフォルニア州サンバーナーディーノ近郊にオープンしたGreenlaneのフラッグシップステーションには、400kW級の充電ポートが数十基設置されている。今後、ロサンゼルスとラスベガス間などの長距離ルート向けに、より高出力の充電ステーションが計画されている。
欧州の先行事例と米国への教訓
ACT Expo(トラック・フリート業界の専門展示会)では、欧州におけるメガワット充電の取り組みが「Megawatt Charging in Europe: Lessons for the U.S. Market(欧州のメガワット充電:米国市場への教訓)」と題したパネルディスカッションで取り上げられた。欧州では、すでに高速道路沿いにメガワット級充電ステーションが設置されており、トラックの長距離運行が現実化しつつある。
米国でも、トラック業界の脱炭素化に向けた動きが加速しており、メガワット級充電インフラの整備がそのカギを握る。今後数年で、電動トラックの長距離運行が一般化する可能性が高まっている。
「メガワット充電は今年導入される。当社はメガワット充電を前提にインフラを整備する」
— パトリック・マクドナルド=キング(Greenlane CEO)