1997年にデビューした10代目フォードF-150は、ピックアップトラックの歴史において画期的な存在だった。車のような快適性を備えたトラックというカテゴリー自体は、1950年代のシボレー・カメオが先駆けだったが、1997年以降にこのジャンルが飛躍的に進化した理由の一つが、カスタノ・レザーの存在だった。
カスタノ・レザーの滑らかで贅沢な質感は、F-150の内装を一変させ、トラックの枠を超えた高級感を演出した。特に2001年に発売されたキングランチモデルは、このレザーを採用したことで、ピックアップトラックの新たな地位を確立した。それまでの上級トリムであったラリヤットのプラスチック調レザーとは一線を画し、上流階級のピックアップ愛好家からも高い支持を得た。
皮肉なことに、キングランチの名称が採用されたことで、フォードはリンカーンとのカーティエとの提携を終了させた。フォードは、ブランド価値を高めるために、より適切なライセンス戦略を模索していたのだ。その後、トヨタが1794モデルを発売したが、フォードがいかに時代の先駆けであったかを示す証左となった。
技術革新とデザインの進化
10代目F-150は、単なる内装の贅沢さだけでなく、技術面でも大きな進化を遂げた。従来の「ツインIビーム」サスペンションから、ショートロングアーム式サスペンションへと刷新され、フレームも強化された。また、空力性能はフォード・タウラスに匹敵するレベルにまで向上し、1992年のOBS(旧ボディスタイル)モデルと比較して、高速走行時の安定性が大幅に改善された。
エンジンの進化
エンジンも刷新され、フォードのラインナップに合わせた改良が施された。4.2LにストロークアップされたエセックスV6は、それまでの4.9L直列6気筒の後継として、高い評価を得た。また、4.6L DOHC V8は、当時のクラウンビクトリアと同じ設計が採用され、旧型の5.0LウィンザーV8を大幅に上回る性能を発揮した。さらに、5.4L V8は4.6Lのロングデッキ版で、5.8LウィンザーV8の後継として好評を博した(ただし、11代目で採用された3バルブ仕様は評判が芳しくなかった)。
安全装備の充実
当時のトラックとしては画期的だったのが、デュアルエアバッグの標準装備だ。さらに、17インチホイール、4輪ディスクブレーキ、ABSなどのオプションも広く普及し、快適性と安全性が大幅に向上した。
時代の変化と現在の価値
しかし、時の経過と共に10代目F-150の価値は変化してきた。新しいキングランチモデルでは、耐久性と見た目の両立を目指したレザーが採用され、より汎用的な魅力を持つようになった。また、角ばったデザインは、新旧のF-150モデルとの整合性を保ちながらも、時代の流れに合わせた進化を遂げている。
現在、FacebookマーケットプレイスでOBSモデルのF-150の価格を見ると、当時の革新的なモデルが、もはや過去の遺物のように扱われている現実が浮かび上がる。しかし、その革新性と時代を先取りしたデザインは、今なお多くのファンに愛され続けている。