Solanaベースのデリバティブ取引所Driftは6月10日、4月に発生した大規模ハッキングの被害者に対し、回復計画を発表した。この計画では、プロトコルの収益を被害者に分配する「回復トークン」を発行することが提案されている。
Driftの開発チームは声明で、「ユーザーの損失を補償し、Solana上のリーディング・パーペチュアルDEXとしての地位を回復するための具体的な措置を講じている」と述べた。また、運営体制の抜本的な見直しを行い、徹底したコスト削減と再起に向けた体制整備を進めるとしている。
ハッキングの概要と被害額
4月1日、Driftは管理者が偽の取引を承認してしまうという人的ミスにより、2億9500万ドル相当の暗号資産が流出するハッキング被害に見舞われた。これにより、Driftは一時的に取引やサービスを停止せざるを得なくなった。その後の調査で、このハッキングは北朝鮮の関与が疑われるとの分析が発表されている。
回復トークンの仕組みと課題
Driftの提案によれば、被害者は「回復トークン」を受け取る。このトークンは「回復プール」への請求権を表すもので、Driftの収益やハッキング後に支援を表明したTetherなどの企業が拠出する暗号資産によって徐々に積み立てられる。回収額は各ユーザーの損失額に応じて比例配分される。
Driftの2025年の年間収益は1900万ドルと見込まれており、このペースで回復プールが2億9500万ドルに達するには、約8年かかる計算だ。ただし、Tetherなどの支援企業が合計1億4700万ドルを拠出するとの約束を果たした場合に限る。
回復トークンは譲渡可能であり、Driftの新たなビジネスモデルの成功に賭けることも可能だ。Driftは今後、高リスク・高利回りの「イールド」商品の提供を廃止し、小規模なコードで運営されるパーペチュアル先物取引に特化する方針だ。これにより、ハッキングのリスクを低減させる狙いがある。
新たなDriftの方向性
再開されるDriftは、「セキュリティ重視」を掲げる取引所へと生まれ変わる。具体的には、以下のような改革が計画されている。
- 取引可能な資産を主要なものに限定し、流動性の高い銘柄のみを扱う
- 「イールド」商品の廃止
- モバイルアプリの開発や新たな流動性モデルの導入を延期
- 管理者に対し、専用端末の使用や四半期ごとのセキュリティ研修の義務付け
また、Driftはリブランドに伴い、セキュリティプロトコルの策定も進めるとしている。
市場への影響と今後の展望
今回の発表は、Driftのネイティブトークン価格に大きな変動をもたらさなかった。発表前後でトークンは0.04ドル前後で取引が続いている。
Driftの開発チームは声明の最後に、「時間はかかるが、体制は整っており、エコシステムパートナーの支援も得られている。作業は着実に進んでいる」とコメントしている。