フォーミュラ1(F1)の最大の魅力は、その「フォーミュラ」にある。1950年の創設以来、F1を統括する国際自動車連盟(FIA)は、各チームがマシンを設計する際の技術的な枠組みを定めたルール群を定めてきた。シングルシーターであることは共通だが、車両の寸法や重量、エンジンの仕様、安全装備、空力要素などが「フォーミュラ」を構成し、レース距離やタイヤの使用条件、給油の可否といった競技面のルールも含まれる。

その中でもエンジンの仕様は最も注目を集める部分であり、そのサウンドはF1の魅力のひとつだ。そして今週、ファンにとって朗報となる発表があった。F1は2031年からV8エンジンの復活を目指しており、2030年からの導入もあり得るというのだ。

「実現する。あとは時間の問題だ」と、FIAのモハメド・ベン・スライエム会長はマイアミグランプリの場でロイター通信に明言した。具体的な時期については、関係者間の調整が必要だが、2031年以降であれば、FIAが独自にV8エンジン(あるいはV10、直列6気筒など)を採用する権限を持つことになる。

一方、2030年からの導入については、エンジン供給メーカー(PUMs)と呼ばれる6社のうち4社の賛成が必要となる。Audi、Ferrari、General Motors、Honda、Mercedes、Red Bullの6社が関与しており、その合意はまだ不透明だ。

F1は2014年にハイブリッド時代に突入し、1.6リッターV6ターボエンジンと熱・運動エネルギー回生システム(KERS)を組み合わせたパワーユニットが主流となった。しかし、2006年から2013年まで活躍した2.4リッターV8エンジンのサウンドと迫力を懐かしむ声は多く、ドライバーも「以前とは全く違う」と不満を漏らしていた。さらに、現在のハイブリッドエンジンは、レース中のバッテリー充電に過度なブレーキングが必要となり、ドライバーは危険な運転を強いられるケースもあった。

新たな規則改定により、ハイブリッドエンジンはさらに複雑化したが、そのパフォーマンスに対する不満は根強い。そんな中、V8エンジンの復活は、多くの関係者にとって待望の変化となるだろう。

出典: Hagerty