ICEによる強制送還の実態

米国移民税関執行局(ICE)は、コロンビア出身の拷問被害者であるアドリアナ・キロス・サパタさん(Adriana Quiroz Zapata)を米国から強制送還した。サパタさんは、米国内で保護対象と認定されていたにもかかわらず、米国当局は彼女をアフリカのコンゴ民主共和国(DRC)へと追放した。

拷問被害から逃れ米国へ、しかし…

サパタさんは、元交際相手の警察関係者から繰り返し暴行やレイプを受け、命からがらコロンビアを脱出した。米国にたどり着いた彼女は、更なる迫害を受けることとなった。

昨年、米国は彼女をメキシコへ追放しようとしたが、メキシコ当局が受け入れを拒否。最終的に、米国はサパタさんをDRCへと送り出した。DRCには彼女のつながりは一切ない。

議員が非難する米国の対応

ニュージャージー州選出のロブ・メネンデス下院議員(民主党)は、サパタさんの家族が自身の選挙区に含まれることを明かし、トランプ政権の対応を厳しく非難した。

「政権は彼女をアフリカに放り出すという、計画も配慮もない行為に及んだ。米国の価値観との乖離を露呈している。米国民はこの事実を知るべきだ」
「彼らは1兆ドルの不正・無駄・悪用を削減すると主張したが、実際には保護対象者を第三国へ追放し、コンゴ民主共和国へと飛行機で送り出している。矛盾だらけの政策だ」

議員が警告:「彼女が米国に戻れなければ死ぬ」

メネンデス議員は、下院本会議で共和党を「沈黙し、加担している」と非難。サパタさんについて「米国が彼女を救出しなければ、彼女は死ぬだろう」と述べた。

健康状態の悪化と人道的支援の必要性

サパタさんの代理人であるローレン・オニール弁護士によると、彼女の健康状態は悪化の一途をたどっている。拘束中の食事制限により、糖尿病が悪化。DRC当局は必要な医薬品の提供ができないと伝えている。

オニール弁護士は、サパタさんが現在「非常に繊細な状態」にあり、精神的・肉体的に不安定だと説明した。

DRCでの生活:パンと水、そして圧力

オニール弁護士は4月23日付の米国市民権・移民局への書簡で、サパタさんがDRCで与えられている生活状況について報告した。彼女はパンと水しか与えられておらず、コンビニエンスストアへの外出も監視付きだという。

さらに、DRC当局とコロンビアの外交官が共同で、サパタさんに権利放棄書への署名を迫っているとの疑惑も浮上。これにより、彼女のDRC滞在が一時的なものに過ぎない可能性が指摘されている。

米国の移民政策に対する国際的な批判

サパタさんの事例は、米国の移民・難民政策における人道的配慮の欠如を象徴するものとして、国際社会からも批判を浴びている。議員や人権団体は、即時の人道的措置を求めている。