米テキサス州立大学のアイドリス・ロビンソン准教授(哲学、テニュアトラック)が、2024年6月29日にノースカロライナ州アッシュビルで行った講演「パレスチナ抵抗からの戦略的教訓」を巡り、大学側が契約更新を拒否した問題で、テキサス州西地区連邦地裁のアラン・アルブライト判事は6月、ロビンソン准教授の解雇取り消しを命じる仮差し止め命令を発令した。
ロビンソン准教授はテニュアトラックの非テニュア教授で、講演は大学とは無関係に行われた。講演中に意見を異にする聴衆とのトラブルが発生したが、警察報告書にロビンソン准教授は関与していないと記載された。大学側も暴力を扇動したとの主張はしていない。ロビンソン准教授は2024年秋学期から授業を再開し、2024-2025年度の業績評価では「優秀な同僚であり、全ての分野で高い評価を受けている」と評価された。
しかし2025年6月5日、講演内容に反対する投稿がInstagramで拡散され、テキサス州立大学に複数の苦情が寄せられた。これを受け、ロビンソン准教授は「2024年夏に発生した事件に関する複数の苦情と申し立て」を理由に、6月6日に停職処分となった。同年7月には、大学側から「2025-2026年度の契約を更新しない決定が下された」と通知された。
ロビンソン准教授は、解雇の理由が講演内容に基づく表現の自由の侵害であり、第一修正権(First Amendment)に違反すると主張。大学側は他の理由を示しておらず、この主張を否定していない。
裁判所の判断:第一修正権侵害の立証が成立
裁判所は、ロビンソン准教授の主張を認め、以下の4要件を満たすと判断した。
- ①不利益な雇用処分を受けたこと:停職と契約更新拒否が該当
- ②公共の関心事項に関する発言であったこと:イスラエル・パレスチナ紛争は公共の関心事項
- ③大学の利益よりも発言者の利益が上回ったこと:講演が大学業務を妨害せず、効率性を損なわなかった
- ④発言が処分の動機となったこと:大学側が他の理由を示していないため、発言内容が動機と推定される
裁判所は、大学側が「扇動や真の脅迫など、第一修正権の制限が許される例外に該当しない」と認めたことも指摘。ロビンソン准教授の表現の自由が侵害されたと結論づけた。
「ロビンソン准教授は、第一修正権に基づく報復の立証責任を果たした。発言は公共の関心事項に関するものであり、大学の効率性を損なうものではなかった。発言内容が解雇の動機となったことは明らかだ」
— テキサス州西地区連邦地裁、アラン・アルブライト判事
現在、ロビンソン准教授は仮差し止め命令に基づき職務に復帰しているが、今後の正式なテニュア審査や契約更新の行方が注目される。