米アマゾンは、社内で開発したAIコーディングツール「Kiro」の導入を社員に推奨していたが、実際には競合他社のツールに劣ることが明らかになり、方針を大きく転換した。同社は今後、Anthropicの「Claude Code」OpenAIの「Codex」の利用を段階的に解禁する。

2023年11月、アマゾンの幹部は社内メモを通じて、社員に対し第三者のAI開発ツールよりもKiroの使用を推奨していた。当時のメモには「現在使用中の既存ツールは引き続きサポートするが、第三者のAI開発ツールのサポートは拡大しない」と記載されていた。しかし、半年後の2024年5月、同社は状況を一変させた。Business Insiderの報道によると、社内からの強い要望を受け、アマゾンはClaude Codeの利用を直ちに認め、Codexについても翌週中に導入する計画を発表した。

この方針転換は、アマゾンが自社のAIコーディングツールの限界を認めたことを示すものだ。同社はこれまで、AnthropicやOpenAIなどの競合他社に多額の投資を行ってきたが、Kiroはそれらのツールに大きく後れを取っていた。さらに、最近発生したシステム障害の原因が、KiroによるAI生成コードの不適切な実装にあるとアマゾン自身が認める事態にまで発展していた。

社内ツールの不備と社員の不満

アマゾンのソフトウェア開発者たちは、Kiroの制限に不満を募らせていた。特に、AWS Bedrock上でClaude Codeを顧客に提供しながら、社員自身が使用できなかった矛盾が指摘されていた。ある社員は「顧客がなぜ、私たちが社内で承認していないツールを信頼すべきなのか」と疑問を呈していた。

アマゾンの広報担当者は、CodexとClaude Codeの導入は「顧客向けのサービス拡充」が目的であり、社内では引き続きKiroを主に使用していると主張した。同社によると、エンジニアの83%がKiroを利用しており、社内ツールが依然として中心的な役割を果たしているとしている。

競争激化と技術格差の露呈

アマゾンは、AI分野への大規模な投資を続けてきたが、Kiroの不振は同社の技術戦略に影を落としている。クラウドサービス「AWS Bedrock」を通じて競合他社のAIモデルを顧客に提供しながら、自社のツールが追い付いていない現状は、同社の競争力低下を象徴している。

今後、Claude CodeとCodexはAWS Bedrock上で提供される予定だが、社内でのKiroの使用が続く中、アマゾンがどのように技術的な遅れを挽回するのか注目される。

「お客様により多くの価値を創造していただくため、エージェント型AIツールの拡充を進めています」
— アマゾン ソフトウェアビルダー体験担当VP、ジム・ハウグワウト
出典: Futurism