米国ウイスキー業界、カナダ市場で70%の輸出減
米国ウイスキー業界にとって、カナダは長年最大の輸出先の一つだった。しかし、ドナルド・トランプ前大統領の関税政策をきっかけに、カナダ市場は崩壊。米国蒸留酒業界団体(DISCUS)のデータによると、2024年の年間輸出額は約250億円だったが、2025年には89億円まで激減した。その差額は約143億円に上る。
関税報復でカナダが米国酒類を排除
トランプ政権は貿易不均衡の是正を目的に関税を導入したが、カナダはこれに報復措置として、複数州で米国産酒類の販売を禁止。これにより、米国蒸留所はカナダ市場から事実上締め出された。フォックスニュースによると、カナダはかつて米国ウイスキー輸出の2位だったが、現在は6位に転落した。
わずか9ヶ月で203億円から60億円へ
2024年3月から12月までの輸出額は、203億円から60億円にまで落ち込み、実に143億円の損失となった。DISCUSのクリス・スウォンガーCEOは「業界は関税ゼロの環境でこそ成長する」と述べ、州政府による米国産酒類の販売拒否が業界に与えたダメージの大きさを強調した。
ケンタッキー州の打撃:世界のバーボン生産の95%が影響
米国のバーボン生産の中心地であるケンタッキー州は、世界のバーボン生産の95%を占め、2万3000人以上の雇用と年間900億円以上の経済効果を生み出している。しかし、カナダ市場の崩壊は、すでに需要低迷や債務圧迫に苦しむ同州の蒸留所にさらなる打撃を与えている。
大手メーカーも経営悪化
世界的な酒類大手であるサントリー(ジムビーム、メーカーズマークなどを所有)は昨年、ウイスキー販売の減少を報告。ジャックダニエルズを擁するブラウン・フォーマンも、世界的な需要減少により売上・利益の低下を発表している。
中小蒸留所が最初に倒れる
大手企業よりも中小の蒸留所が深刻な影響を受けている。プレミアムウイスキーブランド「アンクル・ニアレスト」は経営破綻し、数百万ドルの負債を抱えているほか、MGPインダストリーズ(多くの蒸留所に原酒を供給する大手)も業績悪化に直面している。
「業界は関税ゼロの環境でこそ成長する。州政府による米国産酒類の排除は、業界にとって計り知れない損失だ」
クリス・スウォンガー(DISCUS CEO)
今後の見通し:業界再建への道のり
米国蒸留酒業界は、カナダ市場の回復を待ちながら、国内外の需要開拓を進めている。しかし、関税政策の長期化や報復措置の継続により、業界再建には時間がかかる見通しだ。