アメリカのトランプ大統領は10月29日、イランとの停戦を期限なしで延長すると発表した。ホワイトハウスで開催された国家安全保障チームとの会議後に表明されたこの決定は、停戦期限切れ直前のタイミングで発表され、戦争再開と地域的な緊張激化のリスクを回避した。
また、同日予定されていた副大統領ヴォーン氏のイスラマバード訪問が、イランが新たな和平交渉への参加を拒否したことで延期され、最終的に無期限延期となった。
背景と経緯
トランプ大統領は当初、停戦を延長する意向はないと述べていたが、最終的に方針を転換。パキスタンの仲介者、陸軍参謀長アシム・ムニール将軍と首相シェハバズ・シャリフ首相からの要請を受け、軍事行動の一時停止を決定した。
トランプ大統領はソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、「イラン政府が深刻に分裂している現状を踏まえ、イラン指導部が統一された提案を行うまで攻撃を控えるよう要請された」と述べた。
停戦は「イラン側から提案が提出され、交渉が終了するまで」継続される。また、アメリカ軍に対し、イランの港湾に対する海上封鎖を続けるよう指示し、必要に応じて戦争再開の準備を整えるよう命じた。
イラン側の反応
イランのイスラム議会議長で首席交渉官のモハンマド・バーゲル・ガリバフ氏の国家安全保障顧問、マフディ・モハンマディ氏はソーシャルメディア「X」に投稿し、停戦延長は「何の意味も持たない」と主張した。
「敗者が条件を設定することはできない。海上封鎖の継続は爆撃と同義であり、これに対して軍事的な対応が必要だ。トランプによる停戦延長は、奇襲攻撃を行うための時間稼ぎに過ぎない。今こそイランが主導権を握る時だ」
イラン軍のスポークスマンは声明で、「アメリカのいかなる奇襲攻撃にも100%備えている」と述べ、攻撃があれば「即座に強力な反撃を行い、アメリカに前回以上の厳しい教訓を与える」と警告した。
裏にある思惑
複数の地域関係者とイスラエル当局者によると、トランプ大統領の決定には、アメリカとパキスタンの仲介者が、イランの最高指導者ハメネイ師から最新の提案に対する回答と交渉官への明確な指示を待ち続けていた背景があるという。イスラエル当局者によれば、ハメネイ師の回答は10月30日に出される見通しだ。
「イランの交渉官は、最高指導者からのゴーサインを待っている」と地域関係者は語った。
イラン内部の動向
アメリカ政府当局者と地域関係者によると、イラン指導部はここ数日間、トランプ政権との交渉方針を巡り激しい内部対立を繰り広げてきた。イランの最高指導者ハメネイ師は、交渉官に対し、アメリカの提案に対する回答を検討中とされるが、具体的な方針は依然として不透明な状況が続いている。