米国のドナルド・トランプ前大統領が、イランとの和平交渉から自身の側近によって排除されたことが明らかになった。側近らはその理由として、トランプ氏の予測不能な言動が交渉を阻害すると危惧したと、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。

この決定は、先月末に行われた米軍F-15戦闘機の墜落事故における救助作業中のトランプ氏の対応に端を発する。同誌によると、トランプ氏は数時間にわたり側近に激しい怒声を浴びせたという。このため、側近らは「大統領を交渉の場から遠ざけ、重要な局面でのみ報告する」という判断に至った。側近らは、トランプ氏の焦りが交渉に悪影響を及ぼすと考えたとされる。

その後、2人目の米軍兵士が救出された直後、トランプ氏は再び強硬な発言を繰り返した。復活祭の朝に相次いで投稿されたTruth Socialの投稿で、トランプ氏は「数日以内にイラン文明を完全に壊滅させる」と主張した。WSJによると、トランプ氏は自身の不安定な言動がテヘランを交渉に引き出すと考えていたとされる。

しかし、これは今回の軍事作戦において初めて側近がトランプ氏を排除したケースではなかった。同時期、ホワイトハウスの最高幹部であるスージー・ワイルズは、トランプ氏の最も信頼する顧問たちを集めた会議を開催した。問題は、誰もが大統領に対し、戦争が国内に及ぼす影響について正直に伝えていなかったことだった。

同誌によると、ワイルズは内輪の楽観的な戦況報告が、トランプ氏を選挙シーズン(中間選挙)を控えた政治的現実から遠ざけると危惧していた。それまで、トランプ氏には戦場の成功例をまとめた動画が毎日提供されていた。トランプ氏は、イランの核能力を奪うことが、米国第47代大統領としての最大の功績の一つになると考えていた。

しかし、現在の紛争は7週間以上にわたり、政権が設定した6週間の期限を超過している。この間、米国は中東の重要な石油貿易ルートへのアクセスを失い、世界の原油市場が混乱、世界中の生活費が高騰した。また、米国と西側同盟国との関係も悪化した。さらに、米国の納税者には500億ドル以上の戦費が費やされ、米国内ではMAGA思想への政治的拒否感が広がった。

また、イラン国営メディアによると、これまでにイラン国内で3,375人以上、レバノンで2,290人以上が死亡したほか、米軍兵士13人が同地域で犠牲となった。