2025年1月にホワイトハウスに復帰したドナルド・トランプ米大統領は、直ちに「言論の自由の回復」を掲げる大統領令に署名した。同令は連邦政府職員による「米国市民の言論の自由を不当に制限する行為」を禁止する内容だったが、その後の15か月でその公約は大きく揺らいでいる。

トランプ政権は現在、深夜トーク番組司会者のジミー・キンメル(ABC「ジミー・キンメル・ライブ!」司会)とその親会社ディズニーに対する圧力を強めている。先週、キンメルが「第一夫人メラニア・トランプを『未亡人予定者』と呼んだ」というジョークを巡り、連邦通信委員会(FCC)がABCの放送免許を早期に見直す方針を示したのだ。本来の免許更新は2028年まで不要だったが、FCCは「違法な差別行為があったか」を審査すると発表した。

しかし、そのタイミングから、この動きはキンメルの更迭を狙った「行政権の濫用」との指摘が強い。ホワイトハウス記者協会晩餐会襲撃事件を受け、トランプはTruth Socialで「キンメルはディズニーとABCによって即刻解雇されるべきだ」と投稿していた。

FCCはこの「早期更新」という手法を用いてABCに対する長期的な審査手続きに持ち込む可能性がある。CNNメディア担当記者のブライアン・ステルターによれば、免許が最終的に取り消される保証はないものの、政府との法廷闘争には多額の費用がかかるという。

トランプ政権は昨年、保守活動家チャーリー・カーク暗殺を巡るキンメルの発言を受け、同様の脅迫を行っていた。当時はABCが番組を一時休止する事態に追い込まれたが、今回はディズニーが反発を示している。同社は声明で「当社の記録は放送免許維持の要件を満たしており、法的手段で対抗する準備ができている」と述べた。

キンメル自身も1日にこの問題に言及し、「トランプ氏も私たちも、米国人には言論の自由がある。憲法で保障された権利だ」と反論した。

FCCの動きは言論の自由擁護団体からも批判を浴びている。言論自由財団の広報責任者セス・スターン氏は「FCCは憲法で保護された内容を理由に放送免許を武器として使うことはできない」と指摘した。

出典: Reason