米国の元大統領ドナルド・トランプ氏は、移民取り締まりを担う連邦機関ICE(Immigration and Customs Enforcement)を「NICE(National Immigration and Customs Enforcement)」に改称する案を支持した。この提案は、反対派を挑発するための政治的パフォーマンスとみられている。
昨年12月、プロジェクト・ヴェリタスに関与していた元ジャーナリストのアリッサ・マリー氏がSNS上で「ICEをNICEに改称し、メディアが毎日『NICE捜査官』と発言するようにすべき」と提案。トランプ氏は今月12日、自身のSNS「Truth Social」で「素晴らしいアイデアだ!実行せよ」と返信し、支持を表明した。
この発言は、トランプ氏の支持層内で話題を呼んだが、一般有権者からの反発も強い。米国の世論調査では、トランプ氏の支持率が40%を下回るなど、低迷が続いている。特に、イランへの軍事介入や過酷な移民政策が批判を招いており、再選への道のりは厳しい状況だ。
ICEの実態と国民の反発
ICEは、移民の摘発や強制送還を担う機関だが、その活動には多くの問題が指摘されている。具体的には、以下のような事例が報告されている。
- 脅迫や威圧的手法:移民やその家族に対する不当な圧力や脅迫
- 令状なしの捜索・逮捕:法的根拠なく行われる家宅捜索や逮捕
- 人種プロファイリング:特定の民族や人種を標的にした不当な取り締まり
- 誤った拘束:法的地位にかかわらず、無実の人々を拘束
- 家族の分断:合法的地位を持つ家族との引き離し
- 児童の拘束:数百人規模の児童が拘束された事例
- 市民の死亡事件:ミネソタ州で2人の米国市民がICEの活動に関連して死亡
こうした実態を踏まえると、名称を変更したところで、ICEの問題が解決されるわけではない。むしろ、名称変更が政治的なパフォーマンスに過ぎないと受け止められ、さらなる批判を招く可能性もある。
政治的意図とその限界
トランプ氏の支持層は、このような挑発的な発言に反応する傾向があるが、一般有権者の多くは、移民政策の実態に関心を持っている。特に、ICEの活動が人権侵害につながっているとの指摘は、国際的な批判も招いている。
名称変更が実現すれば、メディアは「NICE捜査官」という表現を使わざるを得なくなるが、これは単なる言葉遊びに過ぎない。実際のICEの活動が改善されなければ、国民の不満は解消されないだろう。
「NICEという名称がどれだけ印象的であっても、ICEの実態が変わらなければ、国民の支持を得ることはできないだろう」
—— 移民政策専門家のコメント
トランプ氏の今回の発言は、支持層を勢いづけるためのものだが、移民政策の実態を直視しない限り、支持率の回復は難しいとの見方が強い。