2024年7月、ドナルド・トランプ前大統領が当時オハイオ州選出の上院議員だったJDヴァンス氏を副大統領候補に指名して以来、選挙キャンペーンのロゴには「トランプ」と「ヴァンス」の両氏の姓が長方形の枠内に記載されていた。しかし、先月送られた資金集めメールでは、ヴァンス氏の名前が抜けた「トランプ」のみのロゴが使用されていた。(スクリーンショット:FC)

トランプ氏がヴァンス氏を外したMAGA Boxロゴを最後に使用したのは2024年の選挙期間中だったが、このロゴが4月に再び登場した。今回は「公式ミッドターム愛国者名簿」と銘打たれた資金集めメールで使用された。これは、トランプ氏の最新大統領選挙キャンペーンのメーリングリストを管理するリーダーシップPAC「Never Surrender」が過去1ヶ月にわたり使用したロゴの1つに過ぎない。ヴァンス・トランプ両氏のロゴは引き続き使用されているものの、ヴァンス氏の名前を一切含まない代替ロゴやメールヘッダー画像が増加している。

これは、トランプ氏への注目を集中させるための微妙なブランド戦略の転換といえる。また、2028年の後継者選びに関する疑問が高まる中で、トランプ氏のみを前面に押し出したロゴが目立つようになった。ヴァンス氏抜きのロゴは、トランプ氏が2025年1月に大統領に再就任した直後から資金集めメールに登場していたが、その数は増加傾向にある。

ヴァンス氏抜きロゴの使用割合が急増

政治メールアーカイブ「Archives of Political Emails」の分析によると、ヴァンス氏抜きのロゴが使用された割合は、2025年3月の25%から2026年3月には42%にまで上昇した。4月には30%を超えるメールでヴァンス氏抜きのロゴが採用された。(スクリーンショット:FC)

これらのロゴの中には、トランプの名前を大文字で強調したものもある。また、資金集めの要請を「自分自身」からの直接的なアピールとして捉えやすくするために、メールのヘッダーに「Memo from Trump(トランプからのメモ)」と記載されたものも多く見られる。さらに「Trump 47」というロゴでは、トランプの名前が盾の形にデザインされている。

ヴァンス氏のロゴが完全に消滅

その一方で、ヴァンス氏の名前を冠したロゴは資金集めメールから姿を消しつつある。昨年はヴァンス氏単独のロゴが記載されたメールが8通送られたが、今年に入ってからは1月にヴァンス氏が署名したメールが1通あったのみで、独自のロゴは使用されていない。PACの財務担当者であるブラッドリー・T・クレイト氏は、レッドカーブを通じた取材依頼に対し、コメントを拒否した。

資金集めメールの過激化とロゴの役割

「Never Surrender」による小口寄付者向けの資金集めメールは、しばしば過激で奇妙な内容で知られる。例えば、米国市民であることを証明するための調査に応じない支持者に対し、移民税関執行局(ICE)の職員を差し向けると脅迫するメールや、寄付と引き換えに機密国家安全保障ブリーフィングへのアクセスを提供すると持ち掛けるメールなどが送られている。最近では、こうしたメッセージを伝えるためにカスタムロゴが多用されている。例えば「Elite Swamp Drainers for Trump(トランプのためのエリート沼地排水者)」や「Trump Inner Circle(トランプの内輪)」「Trump Platinum(トランプ・プラチナ)」といった架空のグループ名を冠したロゴが、小口寄付者に「大統領へのアクセス特典」という幻想を与えている。(スクリーンショット:FC)

「現職大統領は、特に人気がある場合、自党全体のために資金集めを行うことが一般的です。しかし、トランプ氏の場合は、自らのブランド力を前面に押し出す戦略にシフトしているように見受けられます」
──公共政策学准教授 ソレル・ウィコフ・ゲイナー