米フロリダ州の裁判所に提訴された名誉毀損訴訟を通じて、暗号資産(暗号資産)業界の大物であるジャスティン・サン氏との対立が激化している。World Liberty Financial(WLFI)は、トランプ前大統領と関係の深い暗号資産プロジェクトであり、サン氏が保有していたWLFIトークン凍結を巡る紛争で、同氏を名誉毀損で提訴した。
WLFIによると、サン氏は自身の保有トークン凍結後に、X(旧Twitter)上で数百万人のフォロワーに対し虚偽の主張を拡散したとされる。一方でサン氏は「WLFIが発表した名誉毀損訴訟は、根拠のないPR合戦に過ぎない」と反論し、自身の行動を擁護するとともに、法廷で争う意向を表明した。
「私は自分の行動を支持し、法廷でこの訴訟に勝利することを楽しみにしている」とサン氏はXに投稿した。
この訴訟は、WLFIとサン氏の関係がかつての協力関係から敵対関係へと転じたことを象徴している。サン氏はTRONブロックチェーンの創設者であり、暗号資産業界で最も影響力のある人物の一人として知られる。その一方で、積極的な投資家としても知られ、WLFIの初期段階から同社を支援していた。
初期の協力関係とその後の決裂
WLFIによると、サン氏が保有するBlue Anthem(サン氏が完全所有する企業)は、2024年11月に20億枚の非移転可能なWLFIトークンを3000万ドルで購入した。さらに、アドバイザリーボードの役割に関連して10億枚、2025年1月には約10億枚を追加購入し、総保有量は約40億枚に達したとされる。この初期の支援により、サン氏はWLFIプロジェクトに大きな影響力を持つ存在となった。
しかし、WLFIがサン氏の保有トークンを凍結したことで、両者の関係は悪化した。サン氏は、トークン凍結により売却やガバナンス投票ができなくなったと主張。一方でWLFIは、トークンには当初から移転制限があり、サン氏もそれを認識していたと反論している。
双方の主張と今後の展開
WLFIの訴状によれば、サン氏はトークン契約違反、不正な移転、名義貸し、WLFIの株式公開前の空売りなどに関与したとされる。また、トークン凍結後に行われたサン氏のキャンペーンがWLFIの評判を傷つけたと主張している。
一方、サン氏の別の訴訟では、WLFIが自身のWLFI資産を不当に凍結し、ガバナンス権を剥奪した上、ステーブルコイン戦略への支援を拒否したことでトークンを破壊しようとしたと主張している。
現在のところ、いずれの主張についても裁判所の判断は下されていない。WLFIとサン氏の対立は、暗号資産業界における権力闘争の一端を垣間見せるものとなっている。