米メタ・プラットフォームズは、従業員のPCやワークステーションに新たなソフトウェア「Model Capability Initiative(MCI)」を導入し、キーストロークやマウス操作を記録し、AIモデルの学習に活用する計画を発表した。ロイター通信が1月28日に報じた。
同社の広報担当者は、「人々が日常的に行うコンピューター操作(マウスの動き、クリック、メニュー選択など)の実例を収集し、AIエージェントの開発に役立てる」と説明。また、プライバシー保護策として「機密情報は保護され、データは他の目的に使用されない」と強調した。
しかし、従業員の不安は拭えず、特に大規模なレイオフが続く中で、作業監視への反発が強まっている。今年だけで数百人の従業員を解雇したメタは、さらなる人員削減のうわさが流れており、AIコストの抑制と業務効率化を目的としたAIエージェント導入が背景にあるとされる。
法的なグレーゾーンと倫理的問題
米国の労働法では、従業員のプライバシー保護が十分でないため、会社所有の端末や業務アカウントに限定した監視は合法とされるケースが多い。テキサス大学のコミュニケーション学准教授ナタリー・ビドニック・アンドレアス氏は、「連邦法では従業員の監視に関する明確な規制がなく、キーストロークやマウス操作の記録は法的にグレーゾーンにある」と指摘する。
また、一部の州では電子監視に関する通知義務が課されているが、個人データ保護法は消費者向けに重点が置かれており、従業員の権利はなおざりにされているのが現状だ。
米国の法制度はAI時代に追いついていない
監視技術監督プロジェクト(STOP)の法務ディレクターダリオ・マエストロ氏は、「既存の法律はAI時代に対応しておらず、従業員の監視は合法だが倫理的ではない」と批判する。欧州連合(EU)ではキーストロークログや画面キャプチャに関する規制が強化されているのに対し、米国の法整備は遅れている。
メタの従業員は、業務効率化を名目にした監視強化に不満を募らせており、今後も同様の動きが広がる可能性がある。専門家らは、法整備の遅れが従業員の権利侵害につながるリスクを指摘している。