米国ワシントン州ベントン郡で計画中の「ホースヘブン風力発電所」が、連邦政府の風力発電政策見直しの象徴的プロジェクトとして注目を集めている。同プロジェクトは、共和党の下院議員ダン・ニューハウス氏が昨年、連邦航空局(FAA)に対し空域認定の撤回を要請したことで、一時的に停滞していた。

ニューハウス議員は、商業航空路や軍事訓練ルートへの影響を理由に撤回を求めたが、FAAからは公式な発表はなく、開発業者のスカウト・クリーンエナジーも沈黙を続けていた。ところが、今年1月と3月に同社がFAAに対し、新たなタービン塔の空域認定を申請していたことが判明した。FAAは過去の決定撤回についてコメントを拒否しており、スカウト・クリーンエナジーもFAAとの交渉状況や今後の風力発電事業継続について回答していない。

ホースヘブン風力発電所は、ワシントン州の許認可を取得済みだが、近隣住民やヤキマ族による建設差し止め訴訟が係争中となっている。同プロジェクトはすでにタービンの数を削減しながらも、タワーの高さを増すなどの設計変更が行われており、今後の動向が注目される。

ユタ州の巨大データセンター計画、承認も反対運動は激化

一方、ユタ州ボックスエルダー郡では、テレビ番組「Shark Tank」で知られるケビン・オリアリー氏が出資する「ワンダーバレー・データセンター」の建設が承認された。同データセンターは、グレートソルトレイクのほとりに位置し、9ギガワットの処理能力を持つ巨大施設として計画されている。

オリアリー氏のベンチャーキャピタルとユタ州の軍事施設開発機関(MIDA)が共同で進める同プロジェクトは、天然ガスインフラへのアクセスを強みとしている。さらにMIDAは、同地域を「プロジェクト・ストラトス」と名付け、より広大なデジタルインフラ用地として開発を進めているという。

今週、ボックスエルダー郡委員会はプロジェクト・ストラトスの承認を全会一致で可決した。条件として、騒音レベルを55デシベル以下に抑えること、光害を防ぐ「暗黒天空」規制、農地や牧草地の維持などが含まれている。しかし、これらの条件にもかかわらず、委員会前での反対運動は過熱し、動画がSNSで拡散された。反対派の主な懸念は、データセンターの膨大な電力消費(州全体の年間発電量に匹敵)と、グレートソルトレイク周辺での水資源利用への影響にあるという。なお、データセンターの電力は現地で発電される計画で、天然ガスを活用する方針だ。

ワンダーバレーの建設は既に決定したが、反対運動はさらに激化しており、脅迫行為に発展するケースも報告されている。