米メディア大手のワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)の株主総会が米東部時間10月10日午前10時(日本時間10月11日午前11時)に開催され、同社のパラマウント・グローバルへの売却(総額810億ドル)が正式に承認される見通しとなった。
この合併により、HBO Maxや「ハリー・ポッター」シリーズ、CNNといったWBDの主要コンテンツが、パラマウントのCBSや「トップガン」、 Paramount+と同一の傘下に収まることになる。総額は負債を含めると約1,110億ドルに達する大型案件だが、実行には米司法省をはじめとする規制当局の承認が必要だ。
合併への道のりは紆余曲折
パラマウントによるWBD買収提案は当初から順風満帆ではなかった。昨年後半、WBDはパラマウントの提案を拒否し、Netflixと720億ドル規模のスタジオ・ストリーミング契約を締結する方針を発表。しかし、パラマウントは株主に直接アプローチする「敵対的買収」を仕掛け、Netflixが望まないケーブル事業を含む全面買収を目指した。
三社による熾烈な買収合戦が数か月間にわたりメディアを賑わせたが、最終的にパラマウントがより高額なオファーを提示。Netflixは交渉から撤退し、WBDはパラマウントとの合併に傾いた。
業界からの反発と規制当局の懸念
しかし、この合併には多くの反対意見が寄せられている。俳優、監督、脚本家ら1,000人以上が連名で公開書簡を発表し、合併がさらなる人員削減やクリエイターの選択肢減少につながるとして「断固反対」を表明。また、米上院議員のコリー・ブッカー氏(民主党)は先週開催された公聴会で「この合併は単なる企業取引ではなく、ニュースやエンターテイメント、文化的な力の集中を左右する問題だ」と警鐘を鳴らした。
「何が危機にさらされているのか。それは企業取引だけでなく、誰がニュースを、誰がエンターテイメントを、誰が物語を支配するのかという問題です。文化的な力の集中と統合について真剣に考えなければなりません」
— コリー・ブッカー米上院議員
消費者とクリエイターへの影響
合併が実現すれば、ハリウッドに残る「ビッグ5」の老舗スタジオのうち2社が統合されることになる。また、Paramount+とHBO Maxという2大ストリーミングサービス、CBSとCNNという米国の主要ニュースメディアが一つの企業の下で運営されることになる。
パラマウントのCEO、デビッド・エリソン氏は先週開催されたCinemaConで「私は映画が大好きです。皆さんの期待に応えられるよう、全力を尽くします」と発言。劇場公開の45日間保護や年間30本の映画公開を約束し、クリエイターへの配慮を示した。その一方で、合併後の統合によりコスト削減が図られる見通しだ。
規制当局の承認が下り、合併が完了すれば、WBDは2025年の第3四半期にも新体制へ移行する予定となっている。