米国時間5月11日、メディア起業家のバロン・アレン氏が、ニュースサイト「バズフィード」の過半数株式を1億2000万ドルで買収することを発表した。バズフィードは2023年にピュリッツァー賞受賞のニュース部門を閉鎖するなど経営が悪化していたが、アレン氏の買収により破産の危機を脱する見通しとなった。

アレン氏は、バズフィードのCEOに就任。創業者のジョナ・ペレッティ氏はバズフィードAIの社長に就任し、新体制がスタートした。アレン氏は声明で「バズフィードとハフィントン・ポストの象徴的な基盤を活かし、無料動画・音声・ユーザー生成コンテンツの拡大を目指す」と述べた。さらに「AIの力を活用し、バズフィードをYouTubeに次ぐ無料動画ストリーミングのトップサービスに育てる」と語った。

メディア帝国の拡大戦略

アレン氏は、CBSと提携してスティーブン・コルベアの深夜枠を埋めるなど、近年メディア業界での存在感を高めている。過去にはパラマウント・グローバルなど大手メディア企業の買収交渉も行ったが、実現には至らなかった。

コメディアンからメディア王への道のり

アレン氏は、コメディアンとしてキャリアをスタート。ロサンゼルスのコメディ・ストアでわずか4人の観客を前にしたステージでデビューしたが、後にコメディアンのジミー・ウォーカーから招かれ、ジェイ・レノやデイビッド・レターマンと共にコメディの執筆を担当。わずか25ドルで売ったジョークが、後に「自分がこの業界で成功できる」と確信するきっかけとなったという。

「これは私にとって、人生で最悪の出来事だった。しかし、ビジネスにおいては最高の出来事だった」

アレン氏は、あるテレビ番組で1エピソードあたり2,500ドルの報酬を受け取っていたが、同僚が1万ドルから1万2,500ドルを得ていたことに気づき、給料の引き上げを要求した。しかし、その結果解雇されてしまった。

「当時は人生で最悪の出来事だと思った。しかし、後にこれはビジネス人生において最高の出来事だったと気づいた」と語った。この経験を機に、アレン氏は「二度と誰かに雇われることはない」と決意し、独自のテレビ番組の販売を始めた。

アレン氏は「5万回のノーを乗り越えた末に、ようやく最初の番組を放送することができた」と振り返る。その後、テレビ業界での成功を収めたアレン氏は、気象チャンネルの買収にも乗り出した。

「彼らは私をプロセスに参加させたくなかった。しかし、モルガン・スタンレーとの交渉を経て、最終的に2018年に3億ドルで気象チャンネルを買収した。資金調達の問題を指摘されたが、私は『お金は商品ではない。私が商品だ』と語った」

アレン氏は「成功とは、お金ではなく、自分自身の価値を高めることだ」と信じている。

新たな挑戦への決意

バズフィードの買収を通じて、アレン氏は「AIを活用した無料動画ストリーミングサービスの拡大」という新たなビジョンを掲げている。同社は、ユーザー生成コンテンツや音声コンテンツの強化にも注力し、メディア業界における存在感を再構築する計画だ。