米国の保守系メディアやインフルエンサーの間で、近年「医療詐欺の撲滅」が共通の関心事となっている。特に民主党の政策に対する批判が減少する中、保守層はマイノリティコミュニティを標的にした詐欺調査を積極的に展開し、支持を集めている。
24歳のMAGAインフルエンサー、ニック・シャーリーは今年初め、ミネソタ州のソマリア系アメリカ人向けデイケア施設を訪問し、詐欺行為の実態を動画で発信。1月には医療詐欺撲滅を掲げるドナルド・トランプ元大統領の番組に出演した医師「オズ博士」がロサンゼルスで独自の調査を実施した。また、副大統領JD・バンスは「詐欺撲滅責任者」の肩書きを掲げ、活動を強化している。さらに先週には、保守系メディア「デイリー・ワイヤー」がホームケア詐欺に関する大規模な調査報道を発表した。
しかしその一方で、保守陣営は自らの「詐欺師」を支援するという矛盾した動きを見せている。X(旧Twitter)上で展開された一連の投稿では、保守系ラッパーや保守系メディア「ゲートウェイ・パンディット」の編集者など、多様な立場のインフルエンサーが一斉に、医療詐欺で8900万ドルを横領した実業家アンドリュー・マッキュビンズへの寛大な処分を求めているのだ。
「正義の味方」としてのマッキュビンズ像
マッキュビンズはユタ州の企業の元経営者で、不必要な遺伝子検査を指示し、医師や看護師に賄賂を渡して検査を受けさせるなどの詐欺行為を行ったとして、2020年9月に共謀罪を含む3つの罪で有罪判決を受けた。彼は数百万ドル規模の邸宅を没収され、共犯者の裁判では詐欺の詳細を証言した。しかし、彼には保守層にとって「英雄」といえる経歴があった。
マッキュビンズは2023年に大ヒットした保守系映画「サウンド・オブ・フリーダム」のエグゼクティブプロデューサーを務め、同作のモデルとなった団体による潜入捜査にも参加していた。この映画は人身売買撲滅をテーマにしたもので、保守層から熱狂的な支持を集めている。
保守インフルエンサーによる「支援キャンペーン」
マッキュビンズの量刑が今月下旬に迫る中、保守系インフルエンサーらは数ヶ月にわたり一致団結し、彼への恩赦や起訴取り下げを求めるキャンペーンを展開している。5月1日には、トランプ元大統領を支持するラッパー「フォルジアート・ブロウ」(自称「トランプの甥」)がX上で「この事件の数字はおかしい」と投稿。司法省のエド・マーティン氏を「My nxgga(仲間)」と呼びかけ、事件の再検討を求めた。
ブロウは「ICEを支持する」などの楽曲で知られ、トランプの頭部を模したチェーンを身に着けるなど、刑事司法に関する真摯な分析とは無縁の人物だが、彼だけでなく、スペイン在住の保守系インフルエンサー、アダ・リュウも同様の主張を行った。「サウンド・オブ・フリーダムは子供を救うための勇気を示した。アンドリュー・マッキュビンズはその作戦の重要な担い手だった。前政権時代の事件が今も追及されているのは信じられない」と述べた。
「このニュースレターで紹介した出来事は、すべて信じがたい事実ばかりだ。見逃すな」
(原文の締めくくりの一文を引用)