米連邦捜査局(FBI)で18年にわたり活躍した元FBI副長官のブライアン・ドリスコル氏は、同局内で行われていた「忠誠度テスト」の実態を明らかにした。同氏は、ドナルド・トランプ前大統領の2期目開始時にFBI長官の次席に就任する予定だったが、事務的なミスにより一時的に長官代行に就任することとなった。その後、上院の承認を経てカッシュ・パテル氏が長官に就任し、ドリスコル氏は解任された。
ドリスコル氏はCNNの取材に対し、パテル氏との面談で「FBIは大統領を刑務所に入れようとした。忘れていない」と直接言われたことを明かした。また、パテル氏はFBIへの就任に際し、ドリスコル氏がソーシャルメディアで活動していないこと、民主党への寄付を行っていないこと、2024年の大統領選挙でカマラ・ハリス副大統領に投票していないことを条件としたと語った。
「背筋が凍る思いだった」とドリスコル氏は述べ、パテル氏からの質問が政治的立場や投票行動に及んだことに衝撃を受けたという。具体的には、自身の政治的所属、投票先、トランプ氏への支持開始時期、最近の選挙で民主党候補を支持したか否かなどが尋ねられた。
2025年1月の大統領就任後、ホワイトハウスは1月6日の Capitol Riot(議事堂襲撃事件)に関与したとされるFBI職員約6,000人のリスト提出を要求したが、ドリスコル氏はこれを拒否した。当時の司法省官僚エミール・ボーヴェ氏は、これを「FBI幹部の反抗」と非難したが、ドリスコル氏は「これは間違っている」と反論した。ボーヴェ氏は「FBI内の文化的腐敗」が原因だと主張したが、ドリスコル氏はこれに納得しなかった。
ドリスコル氏はその後、同年8月に解雇された。しかし、FBI内の「粛清」は今も続いていると同氏は指摘する。ホワイトハウスの意向により、議事堂襲撃事件やトランプ氏の機密文書捜査に関与した職員が標的にされているという。同事件の捜査に携わった職員や、トランプ氏の機密文書問題を調査していた職員が解雇されるケースが後を絶たない。
ドリスコル氏は、自身を含む元FBI幹部3人がトランプ政権を相手取り、「報復キャンペーン」の一環として解雇されたとして提訴している。この訴訟は現在も進行中だ。